責任投資への取組み

3.スチュワードシップ活動への取組み

3.議決権行使
(1)議決権行使に関する基本的な考え方(議決権行使の基本方針1)

当社は、お客様から委託された資金を運用し、お客様の利益向上をめざす運用会社として、フィデューシャリー・デューティーを負っています。株主議決権行使においても、当社の負っている役割を全うし責任を果たすため、国内外の投資先企業に望ましい経営を促し、投資先企業が企業価値の向上と持続的成長を実現してゆくように、議決権行使のためのガイドラインを定め、投資先企業に対し議決権を適切に行使します。議決権を適切に行使することで、投資先企業に対して、長期的に株主の利益を尊重した経営を行うよう求めてゆきます。

(2)議決権行使のためのガイドライン(議決権行使の基本方針2)

当社は、議決権を行使するに当たって、株主価値を向上させると判断される議案には賛成し、株主価値を毀損させると判断される議案には反対します。特に、以下に該当する場合には、議案を精査し、株主の利益に反すると認められる場合には否定的に判断します。

  1. ① 反社会的行為が認められる場合。議案判断の際に考慮する「反社会的行為」とは、法令や取引所ルール、ESG課題への取り組み、社会良識等の観点から大きな問題があり、株主価値を毀損する行為を指す。なお、投資収益とは無関係に、専ら特定の社会的・政治的問題を解決する手段としては、株主議決権を行使しない。
  2. ② 経営戦略や財務戦略によって株主価値を毀損する恐れがあると認められる場合。
  3. ③ 業績の著しい不振が続いているにもかかわらず、経営陣による経営改善の努力が不十分と認められる場合。議案判断の際に考慮する「業績の著しい不振」とは、3年連続の赤字等投資収益の著しい低迷をもたらす状態を指す。「業績」とは、連結ベースの業績を指す。連結決算が発表されていない場合は、単独ベースの業績を指す。(以下同様)。
  4. ④ 多額の余剰資金を抱えながら、有効に活用されておらず、かつ株主還元も不十分と認められる場合。
  5. ⑤ 情報開示が不適切で、株主に対して正確かつ十分な情報が提供されていないと認められる場合。
  6. ⑥ 当該会社に係る監査意見が無限定かつ適正でない場合。
  7. ⑦ 取締役会の構成・規模、監査役会・監査委員会・監査等委員会の構成・規模等が不適切で、株主価値を毀損する恐れがあると認められる場合。
  8. ⑧ その他、非定型的な議案について、明らかに株主価値を毀損すると認められる場合。
(3)個別の議案に対する考え方(議決権行使の基本方針3)

①取締役の選任

取締役は、株主に代わって経営の執行を監督するための能力と経験を有し、十分な機能を果たすことのできる適切な人材であることが期待されます。

反社会的行為があった場合、業績が長期にわたり低迷しかつ経営改善努力が認められない場合、その他株主価値を毀損する行為があった場合には、それについて責任を有すると判断される取締役である候補者の再任議案については慎重に検討し、適任でないと認められる場合には当該候補者の再任に反対します。

社外取締役を選任する議案については、原則として賛成しますが、その実質的な独立性などについて慎重に検討します。社外取締役の独立性については、大株主を代表するものでないか、役員報酬以外に高額の報酬を得ていないか、他の役員の親族でないか等を総合的に考慮して判断します。

取締役の人数は、会社の事業内容や事業規模に照らして適正であることを要します。

②監査担当役員の選任

監査担当役員は、株主に代わって取締役の業務を監査することのできる適切な人材であり、十分な機能を果たすことが期待されます。

企業に反社会的行為があった場合等において、監査担当役員がその反社会的行為に責任を有すると認められる場合、あるいは十分な監査監督機能を果たさなかったと認められる場合においては、当該監査担当役員の再任について否定的に判断します。

社外監査担当役員については、経営陣からの独立性が確保されることが望まれます。社外監査担当役員の全員が独立性に欠けると判断されるような監査委員会・監査役会の構成は望ましくありません。社外監査担当役員の独立性については、大株主を代表するものでないか、役員報酬以外に高額の報酬を得ていないか、他の役員の親族でないか等を総合的に考慮して判断します。

監査担当役員を減員する場合は、その理由が妥当なものであることを要します。

③監査法人の選任

監査法人の選任を求める議案は、以下の場合を除き原則として賛成します。

  • 監査法人と企業に利害関係が認められ、独立性が認められない場合。
  • 過大な非監査報酬が監査法人に支払われていると認められる場合。
  • 監査法人が会社の財務状況について正確ではない意見を表明したと認められる場合。

④役員報酬

企業の反社会的行為等が認められる場合には、役員報酬支払いに対しても適切な対応を求めます。

長期的な業績に連動している合理的な役員報酬議案については、原則として賛成します。しかしながら、会社の財務状況に照らして不適切な金額である場合、株主の利益を毀損すると認められる場合等には、反対します。

⑤役員賞与

役員賞与に係る議案については、重大な反社会的行為が認められた場合、業績若しくは株価が著しく不振であった場合、又は賞与の金額が過去の実績や現在の財務状況若しくは業界他社との比較等から見て不当に多いと認められる場合には、反対します。

⑥役員退任に関する報酬

退任役員に関する報酬の議案については、重大な反社会的行為が認められた場合、業績若しくは株価が著しく不振であった場合、又は報酬の金額が過去の実績や現在の財務状況若しくは業界他社との比較等から見て不当に多いと認められる場合には、反対します。

⑦ストックオプション

ストックオプションを報酬として付与する議案については、重大な反社会的行為が認められた場合、業績若しくは株価が著しく不振であった場合、又はストックオプションの価値が過去の実績や現在の財務状況若しくは業界他社との比較等から見て不当に高いと認められる場合には、反対します。

役員・従業員の業績インセンティブを高める目的で、適切な対象者に対して適切な条件・要項・規模をもって付与される場合には、原則として賛成します。但し、支給対象者、条件・要項・規模等が不適切と認められる場合には、反対します。社外者に対する付与については、株主価値の向上につながるものであることについて、十分な説明を要します。

会社株式を報酬として支給する議案については、ストックオプションの付与に関する上記規定を準用して判断します。

⑧剰余金処分

企業は長期的な投資計画・資本政策との適切なバランスを考慮しつつ、株主に対する利益配分を決定しなければなりません。余剰資金が生じた場合には、原則として株主に還元することが望まれます。

剰余金処分に係る議案については、長期的な投資計画・資本政策との適切なバランスを考慮した上で、株主還元が著しく不十分と判断される場合、又は配当政策若しくは剰余金処分議案が株主価値を毀損すると認められる場合には、反対します。

⑨自社株取得

自社株取得に係る議案については、原則として株主価値を高める一つの手段として肯定的に判断しますが、資本構成上不適切と判断される場合は反対します。

⑩授権資本の変更

授権資本の増加に係る議案については、目的等が不適切と認められる場合は、原則として反対します。

⑪種類株式の発行

目的が明確で適正であり、かつ募集事項の適正性、議決権の公平性、募集対象者の適正性及び株主の多様性の観点から問題がないと認められる場合には原則として賛成し、それ以外の場合には原則として反対します。

⑫企業再編・資本政策(合併、買収、事業譲渡・譲受、会社分割、増資等)

合併、買収、事業譲渡・譲受、会社分割、増資その他の企業再編・資本政策に係る議案については、その内容、経済的な条件、経営判断の根拠・合理性、開示状況等を総合的に判断し、株主価値の向上に資すると認められる場合には賛成し、それ以外の場合には反対します。

⑬買収防衛策

買収防衛策については、個別に分析を行い、株主価値を守ると判断される場合を除き、反対します。

⑭定款変更

定款変更に係る議案については、長期的な株主価値の向上又は株主価値の毀損の防止の観点から、個別に判断します。これらの観点から、適当と判断される議案には賛成し、不適当と判断される議案には反対します。

取締役の任期をずらすことを認める定款変更議案は、その議案がコーポレート・ガバナンスの実効性を損なうと認められる場合は、反対します。

⑮株主提案

株主提案については、長期的な株主価値の向上又は株主価値の毀損の防止の観点から個別に判断します。これらの観点から適当と判断される議案には賛成し、不適当と判断される議案には反対します。

⑯その他

長期的な株主価値の向上又は株主価値の毀損の防止の観点から個別に判断します。これらの観点から適当と判断される議案には賛成し、不適当と判断される議案には反対します。

(4)議決権行使における利益相反管理方針(議決権行使の基本方針4)

当社の「利益相反管理方針」に基づき、顧客のために誠実かつ公正に業務を遂行し、利益相反の問題を適切に管理します。

利益相反の問題を管理するに当たっては、株主利益を最優先して適切に行動します。

株主議決権の行使については、独立性の高い委員で構成される責任投資委員会が、方針の策定及び最終意思決定について責任を負います。「利益相反管理方針」に定めるグループ関係会社並びにその他の野村ホールディングス株式会社の子会社及び関連会社の株主総会の議案並びにグループ関係会社が関わる案件に関する株主総会の議案については、その事実を明らかにした上で複数の議決権行使助言会社の意見を求め、それらの意見を参考にして、株主利益の観点から、責任投資委員会において議決権行使の判断を行います。責任投資諮問会議ではこの判断の妥当性について検討し、必要に応じて責任投資委員会に対して勧告を行います。責任投資委員会は、責任投資諮問会議から勧告を受けた場合には、議決権行使について再び審議した上で最終判断を行います。

(5)その他(議決権行使の基本方針5)

当社は、以下の場合、議決権を行使しないことがあります。但し、議決権を行使しない場合はこれらに限定されるものではありません。

①貸株

議決権行使基準日において貸株として供出されている場合、議決権を行使するためには当該株式を回収する必要があります。当社は、議決権行使の意義と貸株回収にかかるコストを勘案の上、議決権を行使しないことがあります。

②シェアブロッキング

議決権を行使する条件として、株主総会に先立つ一定期間、指定された機関に株式を預託することが要求される国や地域があり、当該期間中は売却できないことがあります。そのような場合、当社は、議決権行使の意義と機会損失を勘案の上、議決権を行使しないことがあります。

③再登記

国や地域によっては、議決権行使のために再登記が必要とされる場合があります。再登記にかかる期間は売却を行なえないことを勘案して、当社は議決権を行使しないことがあります。

④その他

議決権行使に必要な情報が入手できない場合、議案の受領から行使までの期間が不十分な場合、議決権行使にかかるコストに見合う意義が見られない場合等には、当社は議決権を行使しないことがあります。

(6)議決権行使に関する組織体制

当社における議決権行使に係る意思決定は、責任投資委員会がこれを行います。責任投資委員会は、経営会議において任命された委員長と、委員長が指名した委員で構成されています。委員は各運用領域の責任者を中心に構成されると共に、社外取締役も同席し、より透明性の高い意思決定の行える組織体制を構築しております。

議決権行使に係る一連の業務については、役割分担を定められた各部署が責任をもって遂行しています。

(7)議決権行使結果の個別開示

野村アセットマネジメントでは、議決権行使の基本方針と基準に則り、議決権を行使しています。各議案の判断は少数株主の利益を重視する観点から行っており、重大な不祥事があった場合、業績不振の有責性が見られる場合、社外役員の独立性が低い等コーポレート・ガバナンス(企業統治)に問題が見られる場合、株主に対する情報開示が不十分な場合等に、関連する議案に反対しております。議決権行使結果については、下記の通り、株主総会の開催時期ごとに個別開示しております。

【2017年】
2017年4月〜6月 議決権行使結果(1,753KB)
2017年1月〜3月 議決権行使結果(605KB)