ブラジル通貨レアルの為替情報をご紹介します。
更新日:2012年12月20日
ブラジルレアルのこれまで

【図1】
(1)レアルプラン導入:為替レートは目標相場圏内に固定
ハイパーインフレに悩まされてきたブラジルは、物価安定化政策「レアルプラン」を導入し、1994年7月に市中の通貨をすべて米ドルにリンクした新通貨に切り替えた。これによってハイパーインフレは収束したが、貿易赤字が拡大した。
(2)ブラジル通貨危機:変動相場制への移行と通貨下落
1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機などの影響により、ブラジルにおいても外国資本の急激な流出が発生した。政策当局は金利の引き上げや財政の緊縮策などの対策を行なったが、1999年1月には固定相場制を放棄し、変動相場制へ移行した。その結果、レアルは大幅に下落した。
(3)ルーラ大統領就任への懸念:政情不安で通貨下落
2002年には左派のルーラ大統領の就任を翌年に控え、外国人投資家の間で債務の持続可能性に対する懸念が強まり、資本流出に伴なうレアル売りが急増した。それによりレアルは大きく減価した。
政情不安の払拭と貿易黒字で通貨上昇
ルーラ大統領は、就任後に財政・対外収支の健全化に努め、市場の懸念の払拭に努めた。また、世界経済の好調もあって、ブラジルの輸出は倍増し、経常収支は黒字化した。その結果、ブラジルへの投資の魅力が再認識され、資本流入が活発化し、レアルは上昇した。
(4)世界金融危機:資本流出で通貨下落
2008年9月以降の世界金融危機の深刻化とともに、投資家のリスク許容度が低下し、為替相場は急激な米ドル高・レアル安に転じた。政府は一連の景気刺激策を実施するとともに、中央銀行は積極的な利下げを行なった。
※直近のレアル情報は後述の「2009年以降のブラジルレアル」を参照。
ブラジルレアルの特徴
1.コモディティ通貨:商品価格に概ね連動する
ブラジルは、鉄鉱石などの鉱産資源や大豆などの農産物の生産が多い資源国である。過去の為替レートの推移をみると、ブラジルレアルは2002年に左派政権誕生に対する懸念などから売られたが、その後は他の資源国通貨と同様にコモディティ価格と概ね連動した動きが見られる【図2】。

2.高金利通貨:内外金利差がもたらす資本の流れに影響される
ブラジルの政策金利は7.25%(2012年11月末現在)で、世界の主要国・地域の中では相対的に高い水準である【図3】。このため、投資資金が流入しやすい環境にあった。

2009年以降のブラジルレアル

【図4】
2009年
2009年のレアルの対米ドル為替レートは大きく上昇し、年間の騰落率は+34%となった。この年、格付会社ムーディーズがブラジルの長期債務格付を投資適格に引き上げたことや、リオデジャネイロがオリンピック開催地に決定し、その経済効果が期待されたことなどにより、ブラジルに世界の投資家の注目が集まっていた。しかし、通貨の急激な上昇は国内産業の国際競争力を低下させるとして、ブラジル通貨当局が積極的に通貨高抑制策を打ち出したのもこの頃からである。ブラジル政策当局は10月に非居住者の債券・株式の購入に関わる外国為替取引に対する2%のIOF(金融取引税)課税を発表した。
2010年
2010年には、9月のペトロブラス(ブラジル石油公社)による大型増資が行なわれたことなどを背景にブラジルへの証券投資が活況となった。そのような中、10月以降は再び政策当局が非居住者の債券投資に関わるIOF税率を引き上げるなど、政策当局のレアル高阻止の姿勢が明確になった。この年のブラジル中央銀行によるスポット市場での米ドル買い介入額は414億米ドルに達し、GDP(国内総生産)比で約2%の規模となった【図5】。
2011年
ブラジル中央銀行が利上げを進めた年前半は、レアルが対米ドルで上昇基調となったため、政策当局はIOFの課税強化を相次いで発表した。しかし年後半になると、世界景気の悪化懸念などを背景に、一転してブラジルから資本逃避が起こる危険が指摘され始めた。ブラジル中央銀行は8月に利下げに転じて経済成長を後押しし、非居住者による株式の購入に関わる外国為替取引へのIOF税率は0%に引き下げられた。
2012年(11月現在)
年初はレアルなど高金利通貨が買われる展開となり、政策当局は再び通貨高に対する警戒を強めた。ブラジル中央銀行は2月に約5ヵ月ぶりにスポット市場での米ドル買いの為替介入を再開した。しかしその後、欧州債務問題の深刻化などを背景に、レアルは対米ドルで急落した。国内外の景気減速懸念が徐々に強まったことなどから、ブラジル中央銀行は政策金利を過去最低水準まで引き下げ、10月には7.25%とした。












