欧米におけるプロダクトガバナンスの実態
目次
- 1. プロダクトガバナンスについて
- 2. 欧州におけるプロダクトガバナンス
- 3. 米国におけるプロダクトガバナンス
- 4. まとめと日本への示唆
要約
- 欧州と米国のプロダクトガバナンスについて、当社による現地調査の結果も踏まえ、その実態をまとめた。
- 欧州においては、2018年に施行された MiFID IIを契機に、商品のライフサイクルの全過程において顧客の最善利益を確保するプロセスが広がった。英国の運用会社には、「投資家が支払うコストに見合った価値(Value for Money)が提供されているか」を毎年評価・公表することが義務付けられており、また運用会社と販売会社が情報を連携することが要請されている。実務的には、外部コンサルタントを活用したり、連携のための標準テンプレートが整備されていたりと、業界全体としてプロダクトガバナンスを実施する体制が整っている。
- 米国には、プロダクトガバナンスについての包括的・明示的な枠組みは存在しない。しかし、1940年投資会社法により会社型ミューチュアルファンドにおけるボードが費用の妥当性やサービスの質を評価しており、また販売会社には適合性原則の遵守が求められる。こうした枠組みが組み合わさることにより、米国においても一定のプロダクトガバナンス体制にあると考えられる。
- 商品組成時において関わる部署が多く、複雑かつ厳格なステップを設けていることは、欧州と米国に共通している。日本の運用会社においても、商品組成時から適切なベンチマークや評価指標の設定をより精緻に行うことにより、その後工程における評価やフィードバックが効率的かつ説得力を持って実施できるようになる余地があると考えている。