欧州・英国におけるプロダクトガバナンスの進展
目次
- 1. はじめに
- 2. ESMAのコスト・パフォーマンス分析
- 3. AoV報告の簡素化とConsumer Dutyとの整合
- 4. 製販連携の再整理:ディストリビューション・チェーンの役割分担
- 5. ディストリビューション・コストとVFM
- 6. ファンドライフサイクル管理
- 7. まとめ:プロダクトガバナンスは顧客価値を問う経営機能へ
要約
- 欧州・英国のプロダクトガバナンスは、MiFID IIや英国のAssessment of Valueに代表される制度整備の段階から、制度運用を通じて明らかになった課題を踏まえ、既存商品を含む商品ライフサイクル全体を通じて顧客価値を検証する段階に移りつつある。
- ESMAのレポートによると、UCITSのコストが全体として低下傾向にある一方、既存ファンドは低下幅が限定的なことが示されている。新商品では競争による低コスト化が進みやすい一方、既存商品は相対的に高コストのまま残る可能性があり、既存ファンドの棚卸しも重要である。
- 英国では、Assessment of Valueの外部報告について、詳細な開示負担を軽減しつつ、Consumer Dutyのもとで顧客成果の検証をより実質的に行う方向に動いている。形式的な開示から、投資家にとって意味のある情報提供や商品改善への重点移行と捉えられる。
- 製造者と販売者の情報連携の枠組みは整備されてきたが、販売状況や顧客反応を商品改善に結びつけるフィードバック・ループにはなお課題が残る。英国においてはConsumer Duty のもと、ディストリビューション・チェーン上の役割分担を明確化する動きがみられる。
- ESMAはUCITSの総費用のおよそ半分をディストリビューション・コストが占めると示した。Value for Moneyの検証には、運用報酬、販売、助言、プラットフォーム、管理等を含む総費用の把握と、各費用がどのようなサービスの対価であるかの説明を可能にすることが望ましい。
- 商品組成時に想定顧客、ベンチマーク、費用等を明確にし、組成後にパフォーマンス、販売状況等をモニタリングし、必要に応じて改善の具体的アクションにつなげられることが大事である。プロダクトガバナンスは継続的に顧客価値を高める仕組みとして設計されることが求められる。