欧州長期投資ファンド(ELTIF)の制度改正からの示唆
目次
- 1. はじめに
- 2. EUにおけるELTIFの位置づけ
- 3. ELTIFの歴史
- 4. ELTIF制度の改正ポイント
- 5. ELTIFの制度改正からの示唆
- 6. おわりに 日本版ELTIFの可能性
要約
- ELTIF(European Long-Term Investment Fund)は、EU域内における長期投資を促進するために設けられたAIF(オルタナティブ投資ファンド)の一類型である。2015年に制度化されたが、当初は普及が進まなかったため、2023年に改正規則が採択され、2024年1月から通称ELTIF 2.0の適用が開始された。
- ELTIF 2.0では、投資対象の拡大、分散・借入規制の緩和、リテール投資家とプロ投資家のルール分離などにより、投資家の参加のしやすさや商品設計の自由度が高まった。その結果、新規参入の増加や、リテール投資家によるプライベート資産へのアクセス改善が見られる。
- 当初のELTIFは規制が過度に細かく、制度の利用に繋がらなかったが、ELTIF 2.0は規制を柔軟化することで制度の使いやすさを高めることに成功した。この制度改正からの示唆として、市場の拡大のためには、投資家保護と商品・サービスの使いやすさを両立するように規制水準を調節する必要がある。
- 日本に同様の仕組みを導入することを想定した場合、目的としてはスタートアップの育成が重要なテーマとなる。この点では専門のベンチャーキャピタルファンドの創設が必要となり、欧州の枠組みを参考にするならば、日本版ELTIFと日本版EuVECAの併設が可能性として考えられる。