投資マインドを育てよう

投資マインドを育てるコラム~やさしく学ぶ行動経済学~

「いつかは投資を始めなくてはいけないのかな」と考える方は増えているようです。低金利、長生きリスク、インフレへの備えなど、資産運用に取り組んだ方がいい理由はたくさんあります。資産運用に関する情報もインターネットや書籍などに溢れています。

しかし「いつかはやらなくては」という事柄は、禁煙やダイエットのように、なかなか手がつけられないものと相場が決まっています。「忙しいから落ち着いたら考えよう」「まだ定年まで時間があるし」「自分は投資に向かないタイプだから」などと、できない理由を同じくらい並べてしまうのです。
これは怠け者だからなのではなく、人間として当然の感情の動きであることが分かっています。「現状維持バイアス」と呼ばれるもので、どうしても変化しなければならない状況がない限りは、人はこれまでのやり方や持ち物にこだわってしまいがちなのです。

このような感情の影響を研究しているのが行動経済学です。合理的に考えれば、より高いリターンを見込める資産が他にあるにもかかわらず、売却をして損失を確定するのが嫌だという理由だけで、昔買った株式を持ち続けるという選択はしないはずです。しかし人間には感情があるので、「いつか上がるかもしれないから」となかなか損切りできなかったりするのです。

これまで資産運用の世界では、「適切な知識と情報があれば、投資家はきちんと合理的な判断を行なうことができる」ことを前提としてきました。
しかし実際は、その時の気分や感情に一切左右されずに行動するというのは難しいものです。

行動経済学の研究によって、人間が起こしやすい判断の偏りのパターンがいくつか明らかになってきています。このパターンを学んでおけば、感情の罠にはまることなく、より合理的な選択ができるかもしれません。このコラムシリーズ「投資マインドを育てるコラム~やさしく学ぶ行動経済学~」では行動経済学の要素を取り入れながら、より望ましい資産運用のヒントをご紹介できればと考えています。