投資信託の基礎知識

投資マインドを育てるコラム “感情のワナ”にはまらない、賢い投資家へのステップ

 「分かりやすい=リスクが小さい」とは限らない
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投資信託の販売現場で「いろいろな国の債券が入っているファンドよりも、一つの国の債券だけを投資対象としたファンドの方が、分かりやすくていい」という話を聞いたことがあります。また、投資を始めたばかりの方が「FX(外国為替証拠金取引)は簡単で分かりやすい」と話しているのを耳にしたこともあります。

この「分かりやすい」という言葉。その裏には、「だから、自分にも上手く利益をあげられるのではないか」という推測が隠されていると考えられます。しかし本当にそうでしょうか。

例えば、一つの新興国について成長が確信できたなら、集中して投資した方が、動きがつかみやすくリターンも得やすいように感じます。ただし、一つの国が成長していく過程には様々な出来事が起こります。政変や経済的な問題が起こるかもしれませんし、投資に規制がかかることもあります。集中投資をしていると、その影響を直接受けてしまう可能性があるため、分散投資をするよりも注意が要りそうです。

為替レートは、テレビや新聞で日々報道されていますし、インターネットでも確認でき、動きを予測しやすいように感じます。ただし、為替レートは国際収支や金利、景気、市場関係者の様々な思惑など様々なものに影響を受けるため、身近な円/米ドルレートであっても、1年後にどの水準にあるのかを予測するのは、プロでも非常に難しいことです。少なくとも「簡単に利益を上げられる市場」ではないでしょう。

人は、自分にとって受け入れやすかったり、身近であったりする成功ストーリーに触れていると、「自分も有利にコトを運べるのではないか」というバイアス(判断の偏り)がかかりやすくなります。また、一度判断してしまうと、それを補強するような情報ばかりを見てしまうという傾向もあります。投資で言えば、「●●ならば自分にも簡単に儲けられそう」という思いがあると、実際よりもリスクを小さく見積もってしまう可能性があるのです。

リターンが期待できるということは、その資産にリスク、すなわちリターンの振れ幅があるということです。自分にとって「分かりやすい」ものに投資をすることは大切ですが、「簡単そう」と思った時ほど、リスクを正しく認識できているかを意識してみましょう。

将来のリスクとリターンを知るのは無理ですが、過去の実績から推測することはできます。投資信託であれば、過去の基準価額の推移を見てみましょう。数年ほど実績がある投資信託であれば、最大でどのくらいの下落があったのかを確認し、その下落が受け入れられるかどうか考えてみるというのも一つの方法です。初めて投資をする資産の場合は、少なめの額で様子を見るというのもいいでしょう。

ところで、投資初心者の方々は、一般的に、為替リスクを実際よりも小さく考えがちのようです。投資した外国資産は上昇したのに、円高が進んでいて、円換算では資産が目減りしていた!なんてことになったら残念ですよね。為替リスクを取りたくない場合は、為替ヘッジ付きの投資信託という選択肢もあります。

(参考)
友野典男(2006)「行動経済学」、光文社新書
マッテオ・モッテルリーニ(2008)「経済は感情で動く」、紀伊國屋書店 他