孫へのお金、何に使う?
~退職後に考えたい「モノ」より心に残る贈り方~
孫のためにお金を使うことは、祖父母にとって大きな楽しみの一つです。お祝いを贈ったり、欲しいものを買ってあげたり、食事やお出かけを一緒に楽しんだりする時間には、特別な喜びがあります。一方で、退職後は自由に使えるお金に限りがある方が大半ではないでしょうか。さらに、孫とゆっくり向き合える時間にも限りがあるからこそ、一緒に過ごす時間をより大切にしたいものです。
当コラムでは、孫のためにお金を「いくら使うか」だけでなく、「何に使うとより納得感のある使い方になるのか」という視点から考えてみます。
孫のために使うお金は意外と多い
出産祝い、お年玉、入園・入学祝い、クリスマス、七五三、さらには教育費の援助まで、孫の成長に合わせてお金を使う場面は少なくありません。ソニー生命の「シニアの生活意識調査2025」によると、この1年間に孫のために使った金額の平均は11万3,074円でした。使い道として最も多かったのは「おこづかい・お年玉・お祝い金」で、次いで「一緒に外食」「おもちゃ・ゲーム」「一緒に旅行・レジャー」が続きます。
孫のために何かしてあげたい、喜ぶ顔が見たいという気持ちはごく自然なものです。ただ、退職後の生活で使えるお金には限りがあります。大切なのは、無理のない範囲で、納得できる使い方をすることです。
- (出所)ソニー生命保険株式会社「シニアの生活意識調査2025」を基に野村アセットマネジメント作成
一緒に過ごせる時間は、思ったより短い
孫が幼いうちは、比較的会う時間をつくりやすいものです。小学校に入ると学童や習い事が始まり、週末もスポーツや家族の予定で忙しくなります。高学年になると塾に通い始める子もいるでしょう。そして、中学生以降は部活動や友人関係が生活の中心となり、祖父母と過ごす時間は少しずつ減っていきます。
「もう少し大きくなったら一緒に出かけよう」と思っていても、その頃には予定を合わせにくくなっていることもあります。孫へのお金の使い道を考えるときは、品物や金額だけでなく、「一緒に過ごす時間をどうつくるか」という観点から考えてみるのもよいかもしれません。
モノだけでなく、体験を贈るという考え方
誕生日に欲しいものを買ってあげるのもよいことですが、それに加えて、「一緒に出かける」といった時間を贈る方法もあります。動物園、水族館、博物館、映画館、スポーツ観戦など、高価なものでなくても、孫にとって記憶に残る体験はたくさんあります。
大切なのは、祖父母が連れて行きたい場所ではなく、孫が興味を持つ場所を選ぶことです。そうした体験を通じて生まれた楽しい思い出は、成長してからも心に残り続けることでしょう。
親世代への配慮も大切
孫のためを思ってしたことでも、親世代の教育方針や家庭の生活リズムとずれてしまうことがあります。例えば、祖父母としては応援のつもりで習い事の費用を負担しようとしても、親にとっては「何を習わせるかは家庭で決めたい」と感じることもあるかもしれません。また、孫に楽しい思いをさせたいと遠出のレジャーを計画しても、親としては「予定は先に相談してほしい」「生活のリズムを崩したくない」と考える場合があります。
このように、孫のためのお金の使い方を考える際には、気持ちだけでなく、親世代とのコミュニケーションも大切です。教育費の援助など金額が大きいものはもちろん、外出や体験の機会についても、あらかじめ親の意向を確認しておくことで、無用な行き違いを防ぎやすくなり、より安心して受け止めてもらえるでしょう。
学びにつながるお金の使い方
孫のために使うお金は、学びにつながる形で生かすことができます。例えば、本を贈ることは、知る楽しさに触れるきっかけになります。また、博物館や美術館を訪れることも、好奇心を育むきっかけになるでしょう。
さらに、ある程度成長した孫であれば、おこづかいやお年玉をきっかけに、お金との付き合い方について話してみるのも一つの方法です。「欲しいものをすぐに買うのではなく、少し貯めてから考える」「限られたお金の中で何に使うかを考える」といったやり取りを通じて、自然な形でお金に対する理解を深める機会にもなります。
無理なく続けるための工夫
とはいえ、孫のためだからといって無理をする必要はありません。大切なのは、たくさんお金をかけることではなく、長く関わり続けることです。そのためには、あらかじめ「孫のために使うお金の目安」を決めておくのも一つの方法です。旅行や外食を含めて年間いくらまでにするのか、お祝いごとは別枠にするのかなど、自分なりの基準を設けておけば、使い過ぎへの不安を減らしながら、無理のない範囲で孫との時間を楽しみやすくなるでしょう。
まとめ
退職後のお金は、ただ残すためだけのものではありません。一方で、今を楽しむために使い切ってしまえばよいというものでもありません。大切なのは、老後資金とのバランスを取りながら、今しかつくれない思い出にも目を向けることではないでしょうか。
孫が成長するにつれて、一緒に過ごせる時間は少なくなっていきます。だからこそ、モノを贈るだけでなく、時間や体験を贈るという考えには大きな価値があります。そして、その際には親世代の考え方にも配慮しながら、学びにつながる使い方も意識できると、より納得感のあるお金の使い方につながるでしょう。
無理のない範囲で今を大切にしながら関わっていくことが、孫にとっても祖父母にとっても満足度の高いお金の使い方につながります。そう考えると、退職後のお金の使い方としても、単なる「消費」とは少し異なる意味を持つといえるでしょう。
- 記載の内容は、コラム制作時点(2026年4月)のものです。
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