野村アセットマネジメント 退職後の資産運用と資産活用

「安心」と「楽しみ」を両立するセカンドライフの家計術

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皆様は、旅行や趣味など「人生の楽しみ」のためのお金を”積極的”に使えているでしょうか。

本来、リタイア後の時間は、これまで忙しく働いてきた自分へのご褒美ともいえる大切な時間です。
しかし実際には、「将来に何が起こるかわからない」という漠然とした不安から、なかなかお金を使えないという方も少なくありません。

「念のために取っておこう」
「まだ使うのは早いかもしれない」

そんな思いから、本当はやりたいことがあるのに、つい後回しにしてしまうこともあるのではないでしょうか。

もちろん将来への備えは大切です。しかし、「将来の不安を取り除くために今を我慢する」のでは、せっかくのセカンドライフを十分に楽しめなくなってしまいます。

ここでは、「リタイア後のお金は人生を楽しむためにある」という考え方を前提に、リタイアメント世代におすすめしたい家計の考え方についてご紹介していきます。

お金を上手く使えない理由の一つとして、「ひとつの財布で家計を管理」してしまっていることが考えられます。

ひとつの財布で、

「生活費に当てよう」
「旅行に使おう」
「万が一の時に備えよう」・・・

と考えてしまうと、

「このお金を使ってしまって大丈夫だろうか?」
「将来、使わなければよかったと思うのではないか?」

と常に不安がつきまとい、なかなか使えなくなってしまうのではないでしょうか。

ひとつの財布で家計を管理するイメージ
ひとつの財布で家計を管理するイメージのイメージ

そこで、おすすめしたいのが、「安心」と「楽しみ」を両立させる「複数の財布で家計を管理」するセカンドライフの家計術です。

例えば、

確保したいお金(できる限り使わずに置いておきたいお金)
生活を支えるためのお金(生活費等で日常的に使うお金)
楽しむためのお金(夢の実現のために段階的に使うお金)

の3つの財布に分けます。

複数の財布で家計を管理するイメージ
複数の財布で家計を管理するイメージのイメージ

まず、確保したいお金です。

これは、できる限り使わずに置いておきたいお金、言い換えれば、“最後の砦”ともいえる資金です。

この準備があれば、想定外の病気や事故の医療費などの「万が一の事態」が起きたとしても、「当面は生活防衛資金が確保できているから大丈夫」と安心することができます。
この安心感こそが、他のお金を前向きに使うための土台になります。

次は、生活を支えるためのお金です。

これは、日々の生活費を賄うためのお金です。食費や光熱費、住居費など、生活を維持するために必要な支出に対応します。
年金収入や安定した収入源がある場合はそれをベースに、不足分をこの資金から補う形になります。

生活を支えるためのお金 = 毎月収入(公的年金など)― 毎月の生活費

このお金は、資産を計画的に取り崩していく「デキュムレーション」という考え方を前提としています。
例えば、「これから30年生きる」と想定して、その間の生活費としていくら必要かをあらかじめ計算し、リタイア後の暮らしを設計していきます。

大切なのは、これからの生活にどれくらいのお金が必要なのかを明確にできることです。人は“見えない不安”には弱いものですが、“見える安心”があれば冷静に判断しやすくなります。
生活費が確保できていると分かるだけでも、気持ちは大きく安定するでしょう。

そして最後が、楽しむためのお金です。

これが、セカンドライフを豊かにするための最も重要なお金です。
旅行に行く、趣味に没頭する、家族や友人との時間を充実させる――。
こうした人生の喜びに使うお金を、あらかじめ分けておくのです。

多くの方がこのお金をうまく使えない理由は、「使ってしまって大丈夫だろうか」という不安があるからではないでしょうか。
しかし、すでに確保したいお金生活を支えるためのお金が分けられていれば、この不安は大きく軽減されます。

このお金は「段階的に使う」ことがポイントです。
たとえば、60代はアクティブに旅行を楽しむ、70代は少し落ち着いた趣味にシフトする、といったように、ライフステージに応じて使い方を変えていくことです。

また、「いつかやりたい」と思っていることには、期限を設けることも大切です。
体力や気力が充実している時期は限られています。
だからこそ、「今だからできること」にお金を使うという視点が重要になります。

この3つの分け方の本質は、「お金に役割を与えること」です。

すべてのお金をひとつの財布に入れたままだと、「減ること」への不安ばかりが意識されてしまいます。
しかし、役割ごとに分けることで、「これは守るお金」「これは使っていいお金」と整理され、使いやすくなります。

これは、お金に関する心理学的アプローチである行動ファイナンスの「メンタル・アカウント」の考え方にも通じます。
人はお金を目的ごとに分けて考えると、納得して使いやすくなるということです。

セカンドライフは、「資産を増やす」ステージから「資産を使う」ステージへの転換期です。
にもかかわらず、多くの方が現役時代と同じ感覚で「減らさないこと」に意識を向けてしまいがちです。

しかし、本当に大切なのは、「どう使うか」です。
使わないまま残すことが目的ではなく、人生をより豊かにするために使うことが目的のはずです。

確保したいお金で安心の土台を作り、
生活を支えるためのお金で日常生活を安定させ、
楽しむためのお金で人生を彩る。

この3つに分けることで、お金への向き合い方は大きく変わります。

「上手く使う」ことこそが、これまで積み上げてきた資産を生きた価値に変える行為です。
安心の中で、納得して使う。その積み重ねが、後悔のないセカンドライフにつながっていくと考えます。

これからの時間を、「不安に備えるだけの時間」にするのか、
それとも「自分らしく楽しむ時間」にするのか。

その分かれ道は、お金の分け方で決まるのではないでしょうか。

「安心」と「楽しみ」を両立するために、まずはお金を3つに色分けし、それぞれどれくらいの金額が使えるのか、当ホームページ内の60歳からの資産シミュレーションを活用して計算してみてください。

記載の内容は、コラム制作時点(2026年3月)のものです。
当コラムの記載事項・見解は、全て当コラム作成時点で当社が知り得る情報に基づくものです。将来、制定される制度の内容が変更になる、または一旦制定された制度が変更・廃止になる可能性等があります。