野村アセットマネジメント 退職後の資産運用と資産活用

私たちは「人生100年時代」の最初の世代
~セカンドライフを心豊かに生きる~

インフルエンサー Mimiさん

60代を迎え、これからの人生に思いをはせたとき、「やってみたい」「こう過ごしたい」という期待とともに浮かんでくるのが“お金”の不安です。老後資金の準備は万全か、心豊かな人生を歩むために必要なことに目を向ける機会でもあります。60代の等身大ファッションやライフスタイルを発信するYouTubeチャンネル「Mimi’s life」を運営するMimiさんに、自分らしい生き方の実践や、お金の不安とどのように向き合っているかを語っていただきました。

1960年生まれ。20代から広告づくりに携わり、30代で渡米やハワイ留学を経験。帰国後は印刷会社でデザイン業務に従事し、リストラも経験。49歳でカフェに就職、61才でYouTubeチャンネル『Mimi‘s Life』を開設。YouTubeチャンネル登録者数は8.4万人超、Instagramフォロワー数は3.7万人超(2025年11月現在)。著書に『60代ひとり暮らし 明るく楽しく生きる術。』『60代のおしゃれの見直し 今を楽しむ服を着て。』(いずれも主婦と生活社)、『Mimiさんの何歳でも自分を楽しむ手作り服』(ブティック社)、『Mimi’s life MAGAZINE』(扶桑社)など

「老後を見据えた趣味がほしい」をきっかけにYouTubeチャンネルにチャレンジ

YouTubeチャンネルを始めたのは61歳のとき。きっかけはコロナ禍によって勤務先のカフェがオンライン会議を行うようになり、タブレット端末を購入したためでした。日常生活でタブレット端末を使うようになったある日、同僚から「YouTubeで動画を見るのも面白いよ」とすすめられ、いくつか好きなチャンネルの動画を見るようになりました。

60代を迎え、老後を見据えたときに「趣味がほしいな」と思っていたのも一因です。自分に合っている趣味で、あわよくば収入につなげられたら、と思っていたんです。そこで「YouTubeで発信してみようかな?」って。今思うとチャレンジングだったなと思いますが、インターネット通信と端末があれば始められる手軽さから、まずはチャンネルを開設しました。最初は再生数が50に満たないことも多く落ち込みましたが、「1年は続ける」と決め、60代の等身大の一人暮らしを発信していました。

「あと何回、好きな服を着られる?」誰かの目より自分の“かわいい”に素直なファッションを

今、動画のメインコンテンツはファッションです。洋裁が得意だった母の影響もあり、幼い頃から洋服は大好きだったのですが、若い頃は周囲や異性の目を気にして洋服を選んでいましたし、ベーシックな色合いのコーディネートが多かったんです。自分の見た目にコンプレックスもあり、「私がこんなのを着ても……」と、かわいい服を敬遠することもありました。しかし50代になり、「残りの人生であと何回、自分が好きな服を着られる日があるか」を考えたら、人目を気にして本当に好きな服を選べないのがもったいないと感じるようになって。すると徐々に「かわいい」と思ったものに素直に反応できるようになり、華やかな色や柄物にも挑戦できるようになりました。

そうして私が本当に好きなファッションを発信していると、動画を見てくださっている方の多くが、年齢や社会的な立ち位置によって自分のファッションに制限を課されているのだと気がつきました。「お母さんらしく」「奥さんらしく」「もうこんな歳だから」。たくさんの「こうしなきゃ」に縛られ、本当に自分がしたいファッションを見つけられない人が大勢いらっしゃったんです。そんな同年代の女性たちに向けて、自分の暮らしやお気に入りのファッションを発信し続けていたら、たくさんの人から好きと言ってもらえて。YouTubeを始めてよかったと思いますし、それまでの自分では出会うことのなかった人と会ったり、仕事の幅も広がったりと、得がたい経験になったと感じています。好きな洋服を着たいと思えるのは、自分の心や体が元気な証拠。元気に長生きして、好きなファッションを楽しみ続けられるよう、食事や運動習慣など健康にも気を配るようになりました。

投資は無理なく。大切なのは自分の性格に合ったスタイルを選ぶこと

投資経験は80年代後半の28歳のころ、投資信託を購入したのが最初でした。バブル崩壊によって、ほどなくして50万円が25万円になり、初めての投資は苦い思い出となりました。一度は投資をやめ、当時はまだ定期預金の金利が高かったので口座に預けたり、主婦の間で流行っていた“貯金ウラ技”で小さくお金を増やしたりと、コツコツ貯蓄を楽しんでいました。

38歳で入社した印刷会社で何人かの同僚が株式投資をしていたことに影響され、再び投資を始めました。その頃は日本の個別銘柄を自分で選んで買うスタイルでしたが、日々の値動きをチェックするのは大変なので、2009年ごろからは再び投資信託へ移行しています。今は世の中が大きく動いたときに値動きを確認する程度で、このスタイルが今の私には合っていると感じています。臆病な性格なので不安に思うこともありますが、今の物価高の状況で、何もしないでいることこそ最大のリスクだと考えながら、現在も無理のない範囲で投資を続けています。

年金の不安から今に目を向けたことが一歩を踏み出すきっかけに

20代、30代はあまりお金に頓着せずに好きなように過ごしてきたし、アメリカに住んでいた30代は、日本で年金保険料を納められておらず、国民年金の受給見込み額が低いのではと、将来のお金にずっと不安がありました。そこで、50代の半ばごろに受給額を調べ、月々の生活費と照らし合わせてみました。現実を知るのがずっと怖かったのですが、「これでは足りない」と現状を目の当たりにしたことで「動かなければ」と後押しにもなりました。

私はネット証券ではなく、窓口で担当のアドバイザーさんに相談したり、気になることを教えてもらったりする形で投資を続けています。小心者なので、不安をすぐに相談できる相手がいるのは何ものにも代えられないメリットだと感じています。コロナ禍には不安で「売りたい!」とすぐに電話をかけたくらい(笑)。その際、市場の先行きを分析して「あわてなくても、大丈夫ですよ」と気持ちを落ち着かせてもらえたことは、今振り返ってもありがたかったですね。

私たちは「人生100年時代」を生きる最初の世代
若い人たちの希望になる人生を

お金とは、自分の心を豊かにしてくれるアイテムのひとつだと考えています。穏やかな生活のためにも、自分が好きなことをして暮らしていくためにも、経済的な余裕はほしい。私は過去にリストラされた経験があり、自宅のローンを抱えたまま収入が途絶えたこともあります。お給料をコツコツためるだけではなく、投資したり、副業したりと、お金が生まれる仕組みを複数作り、リスクを分散させることが経済的な安定にもつながるはずだと感じています。

老後のお金に漠然とした不安を抱えている方には、資産の棚卸しをおすすめしたいです。「足りない」と分かれば、「何かしよう」というエネルギーにもなりますし、学ぶきっかけになるはずです。「知らない」から生まれた不安が「知りたい」になって和らぎ、やがては「ちょっとやってみよう」と前向きな気持ちになる。なんとなくの不安から脱出するためにも、まずは現状の把握から始めてみるのがいいのではないでしょうか。

最近は「つかう」の理想を考えるフェーズにもさしかかっているなと思います。私たちの世代は、「人生100年時代」を生きる最初の世代で、よくも悪くも後に続く世代から「見られている」と感じます。40歳くらいのころに働いていた印刷会社では、パソコンの扱い方もわからなくて、20代の先輩たちにあれこれ指導してもらっていました。その方たちから「あなたみたいな40歳なら楽しそう、なりたい!」と言ってもらえたことがあり、それがとてもうれしくて。同じように、近い将来、私たちが楽しい80代を過ごせていたら、これから80歳を迎える人にとっても希望になるのかなって。そのためにも、今の自分の生活を楽しむことは大切にしていきたいです。そして人生の最後の1日に、なんて豊かな人生だったのだろうと思えるよう、私はこれからの人生を生きていきたいです。