リタイアメント世代の社員にインタビュー!
働く60代の本音:これからの暮らしとお金のこと。<後編>
<前編>に引き続き、60歳を超えた今でも、リタイア後の資産の取り崩しをテーマに活動している野村アセットマネジメントの社員8名のインタビューをお届けします。
<後編>では、資産をどう使い、どう守るかといった課題から、セカンドライフの夢や希望を語ります。
- 目次
- <前編>
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- 1. 現役時代にやっておいて良かったと思うこと、やるべきだったと思うことは何ですか?
- 2. 60歳の定年を迎えて、お金の使い方に変化はありましたか?
- 3. 60歳で定年を迎えた際、退職金はどのように受け取りましたか?
- 4. 公的年金について、65歳で受給予定ですか?それとも繰下げ受給を検討していますか?
5. リタイアメント世代の「資産の取り崩し」について、どのように考えていますか?
Gさん:
リタイア後の資産の取り崩しをテーマに活動する部署が新設され、当初は「資産の取り崩し」について実感がなかったのですが、すごく大事なことだと思うようになりました。自分にとっても必要なことですし、これから定年を迎える世代の方もお金を使うべき時がありますよね。そして、何のためにお金を使うのかと言えば、イキイキと生きるため、やりたいことをやるため、ということだと思います。意思を持って計画的に使うことは本当に大事だなと思います。
重要なことは、取り崩しながらも資産残高の運用を継続し、資産減少のスピードを緩やかにすることです。
身近にファイナンシャルアドバイザーがいるなら、色々と相談してみると良いと思います。
Dさん:
多くの方は、夢や希望があり、不安や心配は尽きません。しかし日本人は心配性ゆえに、老後への備えを優先して、結局使わずに残してしまう傾向があるように思います。この備え過ぎている部分を見極めて、なるべく大きな夢を叶えて、可能な限り不安を打ち消すために、適切なお金の配分をプランすることが重要だと思っています。
私自身も60歳を過ぎた今、ここから明るく生きていくために何をすべきか意識するようになりました。
定年は「夕方」ではなくて「明け方」だと捉えています。会社に勤めていた時のしがらみから解放されて、今までやらなければいけなかったことからリタイアして、逆に今までやれなかったことに挑戦できる時間が始まる。だから「リタイア」よりも「リスタート」の気持ちです。
Eさん:
これまでの「お金を育てる」というステージから、「うまく取り崩す」という段階に入り、最初は戸惑いました。自分が実際に実行できているか、自問自答しています。
Bさん:
私自身のことで言えば、定期的な収入がなくなり、資産が減るのは避けたいので、なるべくキャッシュフローが増えるような資産を持つということを考えますね。つまり、分配金とか配当金である程度カバーできるようにしておくと、実際に資産を取り崩さなくてもすみますよね。
Eさん:
取り崩す方法には、主に「定額」と「定率」の2つの考え方がありますね。例えば毎月5万円というように「額」を決めて取り崩すのが「定額」、毎月資産の5%というように「率」を決めて取り崩すのが「定率」です。どちらの取り崩し方法にしても、個人が抱える運用リスクというものは存在するわけですよね。それを理解しないまま取り崩して資産が減っていくと続けられなくなってしまうと思うので、どちらを選択するにしてもしっかり理解して行うべきだと思います。
投資信託の分配金をキャッシュフローとして利用するという考え方もありますが、分配金が出て喜んでいたとしても、運用資産がどんどん減ってしまったら、不安になって運用自体が続かなくなってしまうので、分配金の仕組みについてもしっかり知っておいていただきたいと思います。
Fさん:
私自身はやはり年金が生活のベースになると思います。基本的には流動性のある普通預金に資金をプールしていますので、年金で足りない分はそこから使う感じです。
Aさん:
私は投資している分はできる限り長期で置いておきたいので、公的年金を生活費に回して、足りない分を預金から取り崩していくと思います。
Dさん:
公的年金でどこまでカバーできるのかということを意識して考えるようになりました。
リタイア後には必要以上のリスクを取らないために、増やすよりも減りにくくすることを考えたいですね。
Hさん:
私の場合、50代後半で住宅購入し、さらに子供の結婚や出産が重なったため、60歳前後での出費がかさみ、流動性の高い投資信託や現預金を取り崩す場面が多くありました。
リタイア後の生活に向け、保有する株式や投資信託から安定したキャッシュフローを確保していくことが課題です。
6. 今後の保有資産の配分や運用方針について、どのように考えていますか?
Eさん:
現役時代は資産のほとんどを投資に回している状態でしたが、よく理屈が分かっているものしか買いませんでした。運用実績や運用方針を確認し、納得してからファンドを買っていました。
完全リタイアするとなったらリスクは落としていくと思いますが、運用比率はあまり下げずに、株式比率を下げるなどしてリスクを下げようと考えています。それに今後はもう少し現預金など流動性のある資産の比率を高める必要があると思っています。
NISAのつみたて投資枠を活用して積立投資も継続しています。私のポートフォリオは比較的高いリターンを期待するサテライトの比重が高いですが、NISAのつみたて投資枠はコアということで、バランス型ファンドに投資しています。
Fさん:
私もバランス型ファンドを活用しています。インフレに対応しながらリスクとうまく付き合っていくために、バランス運用でしっかり全体の資産配分を考えています。
仕事柄、投資経験や知識はあり、その分リスク許容度は大きく、株式比率は7割くらいになっていますので、おそらく同世代の方より株式のウエイトが高いのではないかと思います。
分配金や配当金で自動的にキャッシュフローを受け取るということではなく、運用で出た利益を普通預金に置いて、管理しながら引き出していくという感じです。
Dさん:
運用できる残りの時間が減っていくので、リスクは下げていくと思います。
リスクの高い資産の割合を減らすことだけでなく、資産全体のうち、運用に回す割合を減らすことでも、ポートフォリオ全体のリスクは下げられますよね。
企業型DCではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオを参考にして、自分でリバランスもしています。DCなら購入時手数料はかからないし、スイッチングも自由なので、年間少なくとも4-5回はスイッチングをしています。
Aさん:
失われた30年というデフレ期からインフレ基調に転換した中で、投資する人としない人で、将来の生活が大きく変わってしまうという現実が今突きつけられていると強く思います。
私は今後のマーケットの急変に備えて、その時に追加の投資ができるように、資産全てを運用に回すのではなく、余裕を持たせてあります。
Cさん:
私も相場の下落があったら買い増しすると思うので、そのために一部現金で持っておくという準備をしています。
それと、今以上に運用コストのことは意識するようになると思いますね。
Gさん:
証券口座はほぼ株式型ですが、企業型DCは半分くらいを債券型に変えて、少しリスクを減らしました。
複数の口座をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、口座ごとの管理ではなく、資産全体でリスク管理をすることが重要ですね。
Bさん:
今のリスク水準は高めになっていますが、完全リタイア後はリスク水準を落としつつ、値上がりよりも配当利回りに着目した株式を増やそうと思っています。
7. 家族でのお金の管理や相続について、どのように考えていますか?
Fさん:
私はどちらかというと浪費しがちですが、妻は非常に堅実で、家計は妻がきっちり管理をしてくれています。昔からコツコツと投資信託で積立してくれているようです。
私はやりたいことがたくさんあってお金を使いたいタイプですが、妻は堅実にお金を残しておきたいというタイプなので、老後資金の取り崩しの考え方についてお互いに認識を合わせるのは、結構ハードルが高いなと思っています。
Dさん:
うちは家計簿を妻が見てくれているので、どのくらい預貯金があるのか把握できていません。給料は7-8割が妻、残りが自分になるように配分して、妻が生活をやりくりしています。
この間、妻に月々いくらで暮らしているのか聞いてみたら、「あなたが思っているよりギリギリよ」と言われました。
最近は資産を減らさない範囲の利益は欲しいけど、余計に増やしたいという思いはなくなってきました。子供が2人とも独立して心配がなくなったというのもあると思います。
Aさん:
昔から運用と生活のお金の管理は別にしていて、生活費を妻に託して、運用に関しては私に任されています。
Bさん:
友人と話していても、子供への相続の考え方については意見が分かれますね。
Gさん:
私は父親からの相続を経験しましたが、自分がマンションを購入した時は子供2人がまだ大学生で、本当にお金がなくて苦しい時期だったので、相続の時ではなくて、その苦しい時期に親から援助してもらえていたらどれだけ楽だっただろうと思いました。
最終的には子供に遺すつもりですが、子供が本当にお金が必要な時に援助したり、旅行など一緒に経験することに使った方がいいのではないかと思ったりもします。
Dさん:
親としては自分の老後が心配で、将来子供に迷惑かけたくないと思うから、私は余裕があったとしてもお金を渡すということはしないかなと思います。逆に余裕があるなら、妻と楽しく過ごすことや色々な経験をすることに使いたいと思いますね。
Eさん:
孫には若い時の感受性を大事にして欲しいと思っています。小・中・高の多感な時期に世界を見たり、やりたいことに挑戦して欲しいと思うので、そういったことへの援助はしたいと思っています。
それと、妻も子供も金融や資産運用には疎いので、いつか資産を引き渡す時のために、家族にも分かりやすい、あるいはそのままにしておいても大丈夫なポートフォリオにしておきたいと思っています。もちろん、なぜそのまま持っていても良いのかという最低限の内容や理由は伝えて、理解してもらう必要があるので、いずれ時間をかけて説明したいと思っています。
Dさん:
それ大事ですよね。私は子供に自分の資産のことを全て伝えてあります。資産がこれくらい、残りのローンがこれくらい、だから自分たち夫婦は十分生活できるから心配ないよ、ということを話してあります。
Hさん:
私は50代後半に、突然父の介護に直面し、さらに親のお金の管理も担うことになりました。
父は証券会社に株式を保有していましたが、手続きの関係で換金に時間を要し、すぐに介護費用に充てることができませんでした。
ところが父は70歳まで会社員として働いていたため、厚生年金が十分にあり、入院費や施設費、母の生活費まで賄うことができました。そのため、証券口座にある株式を慌てて処理する必要はありませんでした。
さらに父が亡くなった後も母には遺族年金(※)が支給され、今も安定した生活を続けることができています。
この経験から、万が一の際にも家族が困らないように、定期的なキャッシュフローを確保する仕組みを作っておくことの大切さを実感しました。
- (※)遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が亡くなった時に、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
8. セカンドライフに叶えたい夢や目標は何ですか?
Gさん:
昔からフルートを吹いてみたいという夢があって、ぜひやってみたいです。
あと豪華なクルーズトレイン(周遊型豪華寝台列車)での旅もしたいと思っています。これは体力が落ちてきてからでも行けるかなと思っているので優先順位は高くないですが、いつか叶えたいですね。
Dさん:
やりたいことを書き出して、それをやりたい順に並べ直してみると良いと思います。やりたいこと全部を叶えることは難しいので、本当にやりたいことを5つ決めて、そこにお金を使っていくという感じです。
Gさん:
意識すればやりたいことは色々ありますが、時間との戦い、優先順位の問題にもなってきますね。
Cさん:
私は身体が動く間に人や社会の役に立てるようなことをやりたいと思っています。
Hさん:
今は母の介護や孫の世話など、家族の役に立つことが自分の役目だと考えています。
もともとボランティア的な活動が好きですし、私の生き方として、これからも誰かのためになることを続けていくと思います。
Aさん:
私は少林寺拳法のシニアの部の全国大会への出場が今の目標になっています。
Dさん:
私は車好きでいつか憧れの外車を買う、という夢がありましたが、それは諦めました。
今は海外に住む孫に会いたいので、年1回は夫婦で会いに行けるように、働いているうちに貯めておきたいと思っています。
Fさん:
私は料理、特にイタリア料理が好きなので、本場のイタリアに料理留学をしたいと思っています。
もう一度大学で勉強したいという思いもあります。資産運用の世界とはまったく違う、歴史学などを勉強してみたいです。
元気だったら妻と世界中旅行して、美味しいものを食べ歩きたいですね。あと写真も好きなので、世界中で写真を撮って、写真集を作ったりもしてみたいです。
- 記載の内容は、インタビュー時点(2025年11月)のものです。
- 記載の内容は、あくまでも個人の見解であり、会社としての統一的見解として記載しているものではありません。
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