リタイアメントプランニングの実例
お金のコーディネート術を理解したら、次は具体的なリタイアメントプランニングの例を用いて、生涯にわたるお金をイメージしてみましょう。ここでは、夫の退職を迎えた夫婦をモデルケースとし、60歳以降の収支状況と、保有資産を活用していくための方法を紹介します。
- ※1 夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額を使用。
- ※2 男性60~64歳の賃金を使用。
- ※3 夫65歳以上、妻60歳以上で構成する夫婦一組の無職世帯(月平均額/夫婦ふたり)の実支出額を使用。
- ※4 世帯主60歳代の金融資産保有額(金融資産保有世帯平均)を使用。
- (出所)※1 厚生労働省「令和7年度の年金額」(https://www.mhlw.go.jp/)、※2 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(https://www.mhlw.go.jp/)、※3 総務省統計局「家計調査結果(2024年)」(https://www.stat.go.jp/)、※4 金融広報中央委員会(知るぽると)「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/)
Step 1 生涯にわたる収入と支出を試算し、必要な金額を“見える化”
まずは生活状況を書き出し、100歳までの期間もしくは平均余命に5年程度を加えた期間を目安に生涯にわたるお金を計算してみましょう。ここでは、男性60歳の平均余命(23.6歳)※5を参考に90歳で試算します。また、旅行やボランティア、子供の結婚費用等を含めて「人生を楽しむために使うお金」を見積もります。
- ※5 平均余命はある年齢の人がその後何年生きられるかという期待値。
- (出所)厚生労働省「令和6 年簡易生命表」(https://www.mhlw.go.jp/)
- 上記はモデルケースで示した各年間額を基に「年金収入×26年(65~90歳)」、「勤労収入×5年(60~64歳)」、「生活費×31年(60~90歳)」で計算。
- (作成)野村アセットマネジメント
上記を基に計算すると、90歳の資産額は、9,216万円(収入計)+2,588万円(60歳時点の保有資産額)-10,788万円(支出計)=1,016万円となります。仮に、保有資産額ゼロで生涯を終える場合は、この1,016万円(月額2.7万円)が「人生を楽しむために使うお金」となるわけです。
ここで考慮したいのは、60歳時点の資産額を70歳や80歳で維持する必要は必ずしもないことです。年齢を重ねるごとに挑戦できる機会は少なくなっていくことも念頭に置き、70歳や80歳の時点でどの程度資産が残る見込みなのか、また残っていればよいかを考えながら、年一回程度は定期的な確認を行い、必要に応じて計画の見直しを行うことが大事です。
一方で、頭ではわかっていても、定期的な収入がなくなり公的年金での生活が中心となると、思うようにお金を使えなくなるという人も多いのではないでしょうか。では、資産を使い切る年齢は何歳になるのでしょうか。
仮に、生涯の支出に変化がないと仮定した場合、先ほど計算した90歳時点の資産額1,016万円を65歳以降の年間収支の不足額である72万円(年金収入276万円-生活費348万円)で割ると約14年となるため、104歳までは資金はゼロにならない計算になります。必要な金額を“見える化”することで、心にゆとりが持てるようになるのではないでしょうか。
- 各歳の最終日の保有資産額を表示。上記はモデルケースで示したデータを基に野村アセットマネジメントが算出したシミュレーション結果です。
- (作成)野村アセットマネジメント
Step 2 将来にわたるお金のコーディネート
次に、Step 1で具体化した金額を基に、保有資産を活用していくための計画を練っていきましょう。
① 支出の整理
日々の食費や携帯代などの出費に無駄がないか、今一度見直してみましょう。無理をしてまで生活費を切り詰めるのではなく、退職後の生活を豊かに過ごせる範囲で整理することが重要です。
② 収入の拡大検討
収入を拡大する方法としては、主に勤労の延長と資産運用によってお金に働いてもらうことがあげられます。勤労の延長については、例えば70歳まで働き年金受給を70歳まで繰り下げることで、収入額を増やすことが可能となります。資産運用については、例えば年率3%で運用することができた場合、「人生を楽しむために使うお金」を計算すると月額約7.3万円※6となりました。累計取崩可能額は、運用しない場合の1,016万円に対して、3%で運用できた場合は2,716万円となりました。
運用しない場合の取崩可能額の比較
- ※6 各歳の最初の保有資産額を3%で運用し、収入と支出は各歳の最終日に計上。取崩額は90歳の最終日に資産額が0円になると仮定し計算。
- 上記はモデルケースで示したデータを基に野村アセットマネジメントが算出したシミュレーション結果であり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コスト等は考慮しておりません。
- (作成)野村アセットマネジメント
③ 計画的な資産の取り崩しと定期的な計画の見直し
退職後の「わたしの自由時間」を豊かに過ごすためには、具体的なプランを立て、資産を計画的に取り崩すことが非常に重要です。大きな出費があった際には、再度プランニングをして現状を把握することで、不安の解消や目標・やりたいことの見直し、実現度の向上に繋がるでしょう。
「退職後のお金は使うためにある」という気持ちで、今から実現したいことを始めてみてはいかがでしょうか。
- 記載の内容は、制作時点(2025年11月)のものです。
- 記載事項・見解は、全て作成時点で当社が知り得る情報に基づくものです。
- 当コラムで用いたデータに関して、モデルケースで示した数字は千円単位を四捨五入しております。Step 1.2で示したデータは、出所基のデータを用いて計算しているため、計算結果が一致しない場合があります。
