セカンドライフ

シニア世代の余暇とお金の使い方

リタイア後は、仕事や子育てなどから解放され、自分のために使える時間が増えていきます。現役時代には「時間がないから」と後回しにしていたことに挑戦したり、以前からやってみたかった趣味を始めたりすることもできるでしょう。今回は、シニア世代の余暇の過ごし方についてみていきます。

「趣味や余暇を楽しむ」ことと人生の満足度

2023年に医学誌『Nature Medicine』に掲載された研究*では、65歳以上の9万3,263人を対象に、日本を含む16ヵ国のデータを分析したところ、趣味を持っている人は、そうでない人に比べて、幸福感や生活満足度が高く、健康状態も良いとの結果が得られました。

もちろん、趣味を持てば必ず幸福になる、という因果関係まで証明されたわけではありません。それでも、長い人生を豊かに過ごすうえで、趣味を持つなど「余暇を楽しむ」ことには大きな意味があるでしょう。

一方で、現役時代に仕事に打ち込んできた方々の中には、「どのような趣味を持てばよいのだろう」、「何を楽しめばよいのだろう」と戸惑う方も多いかもしれません。

そこで、シニア世代が実際にどのようなことを楽しみ、どのような余暇を過ごしているのかを見てみましょう。

*11 September 2023 nature medicine「Hobby engagement and mental wellbeing among people aged 65 years and older in  16 countries」Hei Wan Mak, Taiji Noguchi, Jessica K. Bone, Jacques Wels, Qian Gao, Katsunori Kondo, Tami Saito& Daisy Fancourt

シニアが「現在楽しんでいること」、 「体験して良かったこと」

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シニアが"現在楽しんでいること"、 "体験して良かったこと"ともに1位は旅行でした。旅行は、普段とは異なる場所を訪れ、新しい景色や文化に触れたり、大切な人との思い出をつくったりできる、シニア世代にとって魅力的な過ごし方の一つなのでしょう。

このうち、"現在楽しんでいること"に「旅行」と答えたシニア(452名)の「旅行」にかける1ヵ月当たりの出費の平均支出額は以下の通りです。

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2020年から2022年までは横ばいでしたが、2023年以降は増加傾向にあります。これは近年のインフレ傾向の影響を受けている可能性があるのかもしれません。生活費だけでなく、余暇に関する費用にもインフレ対策をしておいた方がよさそうです。

「いつ使うか」、お金の価値は年齢で変わる

余暇に使うお金について考えるうえで大切なのは、"いつ使うか"です。「旅行に行きたい」「スポーツを楽しみたい」「コンサートに行きたい」と思っていても、年齢を重ねるにつれて、体力や健康状態などが変化し、以前と同じように楽しめなくなるかもしれません。

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日常生活に制限なく過ごせる期間を示す「健康寿命」は、平均寿命よりも男性で約9年、女性で約12年短くなっています。

もちろん、健康寿命を過ぎたら旅行や趣味を楽しめなくなるということではありません。しかし、年齢を重ねるにつれて、体力や健康状態などの変化によって、やりたいことを思うように楽しめなくなる可能性があります。

だからこそ、これからの人生を考えるときには、「やりたいことが楽しめる時間には限りがあるかもしれない」という視点も大切でしょう。「楽しめる時期にお金を使う」、そんな発想を持ってみてもよいのではないでしょうか。

老後資産というと、「できるだけ減らさずに残しておきたい」と考えがちです。しかし、これまで準備してきた資産を、これからの人生を充実させるために使っていくことも、老後資産の大切な目的の一つです。

もちろん、将来の医療や介護などに備えて、一定の資産を確保しておくことも大切です。一方で、使わないまま資産を残すことだけを優先し過ぎてしまうと、「やりたかったことを先送りしたまま時間だけが過ぎてしまう」ことにもなりかねません。例えば、「毎年このくらいは旅行に使う」「趣味には毎月○万円使う」といったように、楽しむための予算をあらかじめ決めておく。そのうえで、必要なお金を計画的に取り崩していけばよいのではないでしょうか。

人生を豊かにするために、「いくら残すか」だけでなく、「いつ、何に使いたいか」も考えてみる。これまで築いてきた資産を、旅行や趣味、家族と過ごす時間など、自分にとって大切な経験や思い出に変えていく。このように思い出に投資することも、資産と上手に付き合いながら、人生の後半を楽しむための大切な方法の一つではないでしょうか。

(2026年9月作成)

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