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衆議院選挙の結果と市場の見方について

2026年02月09日

<日本経済>
2月8日投開票の衆議院選挙の結果、全465議席中、自民党が単独で三分の二(310議席)を上回る316議席を獲得しました。参議院では少なくとも次回選挙まで、連立を拡大しない限りは少数派であるものの、参議院で否決された法案を衆議院で再可決できる体制となりました。このことは、高市政権の政策推進力を大幅に高めると考えられます。

今後は、2026年度予算の早期成立、特例公債法案の通過をまずは目指されるでしょう。そして、主要政党の大多数が公約に掲げた消費税減税の実現性については、現状では見極めにくい状況です。高市首相は昨日、国民会議で議論すると繰り返した上で、自民党案の実行に向けて「単独で力技で押し切るとは考えていない」と述べました。減税の対象や期間、財源について様々な意見があり、また消費税減税に慎重なチームみらいの躍進等も勘案すると、早期に国民会議で意見がまとまるとは限りません。どの程度自民党が積極的に消費税減税に動くか確認するにあたり、本日2月9日18時から予定されている高市首相の会見が注目されます。

さらに年央にかけては、新たな骨太の方針が示され、成長戦略がとりまとめられる見込みです。高市政権は危機管理投資・成長投資を重視するでしょう。そして、財政目標の明確化も注目されます。これまでの単年度でのプライマリーバランス(PB)黒字化目標から、政府債務GDP比の安定的な低下に主軸がおかれると考えられます。

高市政権の「責任ある積極財政」にとって、財政への信認を確保し続けることが重要です。PB黒字化に強くコミットしないとすれば、政府債務GDP比の安定的な低下のためには、名目成長率が名目金利を上回る状態を維持する必要があるためです。財政リスクへの金融市場の警戒感から長期金利のタームプレミアムが大幅に拡大する事態を回避すべく、高市政権は財政健全化も志向していることをコミュニケーションし続けると見ています。


<日本株式>
先週末の米国株式の上昇に加えて、8日の衆議院選挙での自民党圧勝により日本株市場は大幅高となり、日経平均株価は一時57000円台まで上昇しました。1月の解散発表から株価は既に上昇しており高市首相への期待感が織り込まれつつありましたが、今回の衆議院選挙での316議席獲得は事前想定を大きく上回る結果であり、高市首相の信任を揺るぎないものとしました。積極財政の実行度が高まることが期待され、本日の株式市場では半導体、防衛関連などが牽引するいわゆる高市トレードか復活する形となり、日経平均株価をより押し上げています。

一方で、年初来の株価上昇率はTOPIXべースでも2桁に乗るなど2026年度の10%増益を早くも織り込むような展開となっており、バリュエーションでは1月末のPER17倍、PBR1.7倍から更に上昇し、アベノミクス以降で見ると割安感に欠ける状況です。本日の相場展開を見ても利益確定の売りも出て高値からやや押し戻されているように、期待が株価を押し上げる展開から、実態経済や企業業績の動向に沿った動きになると予想します。

企業業績を中心としたファンダメンタルズは堅調であり、株主還元強化の流れ、コーポレートガバナンスコード改訂などのポジティブ材料も控え中長期的な市場の方向性としてはポジティブな見方に変更はありません。具体的な政策パッケージの内容を見定めつつ、またインフレや為替相場への対処などを含めて高市政権の実行力を確認するステージになると見ています。


<日本国債>
衆議院選挙を受けた本日2月9日、日本国債の利回りは長期債を中心に上昇(債券価格は下落)しており、10年国債利回りで見ると前営業日比で0.04%程度高い2.27%となっています(2月9日午前11時時点)。なお、最も金利上昇幅が大きくなっているのが10年国債であり、30年債などの超長期国債利回りは小幅ながら低下しています。自民党は、今回の選挙における公約の一つとして消費減税の実施を掲げましたが、他政党と比較すれば、実施期間を限定するなど想定される財政支出額は抑制的なものでした。また、衆議院で定数の3分の2を上回る議席を確保したことで、より積極的な財政拡張を主張する野党に配慮する必要がなくなったことなどを好感し、財政リスクを織り込みやすい超長期国債利回りの上昇が抑えられているものと考えられます。

現段階では市場は過度な財政リスクが後退したとの評価をしているものの、高市政権による消費税減税に対するスタンス・本気度は未知数な面も多く、今後の議論の行方次第では、日本国債利回りは上下両方向に大きく動く可能性もあると見ています。なお、今回の選挙結果を受けても日銀の金融政策方針が大きく変更されることは想定されず、引き続き段階的な利上げが実施されることは日本国債利回りの上昇要因になると考えています。


<為替(米ドル円)>
日本円は対米ドルで、高市政権の今後の財政出動に対するスタンスを見極めながら変動していく展開が想定されます。その中で、一旦は積極的な財政出動への警戒感が高まる局面も想定されることから、短期的には円安圧力がかかりやすくなると考えています。ただし、自民党が歴史的な大勝を収めたことで大幅な財政拡張を主張する野党に配慮する必要がなくなったことに鑑みると、無秩序な円安が進むリスクは低くなったと想定しています。高市政権は、為替市場の反応を見極めながら、財政に関して適切な調整が可能になったと考えられます。

加えて、先日、日米金融当局が為替介入の前段階とされるレートチェックを実施したとの思惑から一気に円高が進んだように、1ドル=160円近辺まで円安が進む場合には、為替介入への警戒感、そして実際の介入により円安に歯止めがかかると見ています。中長期的には、金融政策の観点から今後も日銀の利上げが進む一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを継続し、日米の政策金利差が縮小していくことから、円は上昇(円高)に向かうと考えています。


CIO 村尾 祐一



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