長期投資の「長期」とは何年?メリットと併せて解説

長期投資とは、株式や投資信託などの金融資産を長く保有し、値上がり益や配当などを通じて資産の成長を目指す投資方法です。
長期投資に明確な年数の定義はありませんが、過去の世界株式データでは、保有期間が15年、20年と長くなるほどリターンの振れ幅が小さくなる傾向が見られました。資産形成において、長い時間軸で考えることが重要とされるのはこのためです。
このコラムでは、日米株式や世界株式の過去データをもとに、長期投資の効果と、その効果を支える理由について解説します。

長期投資のリターンは年率4~8%!?日本、米国の株式市場の振り返り

過去の株式市場がどのような値動きをしていたのか期間別にみていきましょう。

下図は日本株式の代表的な指数であるTOPIX(東証株価指数)の推移です。
左のグラフは算出可能な1949年からの推移を示しています。約77年間で160倍を超える上昇で、年率平均リターンは約7%でした。次に右のグラフは過去20年間を示していますが、約2倍に上昇し、年率平均リターンは約4%でした。

日本株式(TOPIX)の推移

期間:1949年5月末~2026年3月末、月次

日本株式(TOPIX)の推移の図

・対数目盛とは、数値が等間隔に並ぶ目盛とは異なり、10、100、1,000などと桁数ごとに区切られる目盛のことです。極端に範囲の広いデータを扱う際に用いられます。

・網掛けは内閣府経済社会総合研究所発表の景気後退期を示しています。

・全て指数リターン。

(出所)ブルームバーグ、内閣府経済社会総合研究所()のデータを基に野村アセットマネジメント作成

下図は米国株式の代表的な指数であるS&P500種株価指数の推移です。
左のグラフは算出可能な1927年からの推移を示しています。約98年間では、約370倍に上昇し、年率平均リターンは約6%でした。過去20年間では、約5倍に上昇し、年率平均リターンは約8%となっています。
日米の株式市場を振り返ると、グレーで示している通り景気後退期はこれまで何度も訪れています。バブル崩壊や金融危機などによる株価の暴落局面があったのも事実ですが、長期にみれば市場はそうした局面を乗り越えながら上昇してきたといえます。

米国株式(S&P500種株価指数)の推移

期間:1927年12月末~2026年3月末、月次

米国株式(S&P500種株価指数)の推移の図

・網掛けは全米経済研究所発表の景気後退期を示しています。

・全て指数リターン。

(出所)ブルームバーグ、全米経済研究所のデータを基に野村アセットマネジメント作成

なぜ長期投資が効果的なの?

なぜ長期投資が効果的なのか、2つの視点でみていきましょう。

①リターンランキングからみる長期投資の効果(日本・米国)

下図は日米の株式市場における過去20年間の1日のリターンランキングです。それぞれのランキング上位をみると、同じ色で示している通り株価が大幅に下落した直後やその近い時期に、大幅な上昇を記録していることが多く、短期的な下落局面で「売り時」を判断すると結果的に大きく上昇した日を逃す可能性もあります。

リターンランキング

期間:2006年3月末~2026年3月末、日次

TOPIX(東証株価指数)

下落率(上位10日)

1 2024/08/05 -12.2%
2 2008/10/16 -9.5%
3 2011/03/15 -9.5%
4 2008/10/08 -8.0%
5 2025/04/07 -7.8%
6 2008/10/24 -7.5%
7 2011/03/14 -7.5%
8 2008/10/27 -7.4%
9 2016/06/24 -7.3%
10 2008/10/10 -7.1%

上昇率(上位10日)

1 2008/10/14 13.7%
2 2024/08/06 9.3%
3 2008/10/30 8.3%
4 2025/04/10 8.1%
5 2016/02/15 8.0%
6 2020/03/25 6.9%
7 2011/03/16 6.6%
8 2015/09/09 6.4%
9 2025/04/08 6.3%
10 2008/11/05 6.2%

S&P500種株価指数

下落率(上位10日)

1 2020/03/16 -12.0%
2 2020/03/12 -9.5%
3 2008/10/15 -9.0%
4 2008/12/01 -8.9%
5 2008/09/29 -8.8%
6 2008/10/09 -7.6%
7 2020/03/09 -7.6%
8 2008/11/20 -6.7%
9 2011/08/08 -6.6%
10 2008/11/19 -6.1%

上昇率(上位10日)

1 2008/10/13 11.6%
2 2008/10/28 10.8%
3 2025/04/09 9.5%
4 2020/03/24 9.4%
5 2020/03/13 9.3%
6 2009/03/23 7.1%
7 2020/04/06 7.0%
8 2008/11/13 6.9%
9 2008/11/24 6.5%
10 2009/3/10 6.4%

使用した指数はすべて配当込み。

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

資産運用において、大きな損失を避けることは大切です。たとえば、1万円の株価が50%下落し5,000円になった場合、50%上昇しても、7,500円にしかなりません。5,000円から1万円まで回復するには、下落分の2倍である100%の上昇が必要です。では、大きく上昇した日を逃すとどのような影響があるのでしょうか。下図は過去20年間、日本と米国のそれぞれの株価が大幅な上昇をした日に投資をしていなかった場合のパフォーマンスを保有条件別に示しています。たとえば2006年3月から20年間投資している中で、継続して保有した場合と上昇率上位10日間分を保有していなかった場合を比べると、日本・米国ともに2倍以上リターンの差が出ています。つまり、株価が大幅上昇したタイミングに保有していなかった場合は、良い投資成果を得ることはできず長期投資の継続が優位だったことが分かります。

保有条件別のリターン比較

期間:2006年3月末~2026年3月末、日次

日本株式(TOPIX)

日本株式(TOPIX)の図

米国株式(S&P500種株価指数)

米国株式(S&P500種株価指数)の図

・2006年3月末を10,000ポイントとして投資を開始した場合。

・使用した指数はすべて配当込み。

税金・手数料などは考慮しておりません。市場指数そのものに投資することはできません。ファンドの運用実績ではありません。過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

これらの要因を踏まえると、投資を続けるためには、一時的な変動に惑わされず、長期の視点で資産を保有することが効果的といえそうです。

②保有期間からみる長期投資の効果(世界株式)

次に世界の株式市場についてもみていきましょう。下図は世界株式に投資した場合の保有期間別のリターンの振れ幅とばらつきを示しています。

世界株式に投資した場合の保有期間別年率リターンの振れ幅

期間:1987年12月末~2026年3月末、月次

世界株式に投資した場合の保有期間別年率リターンの振れ幅の図

(使用した指数)世界株式:MSCI ACWI(税引前配当込み・米ドルベース)

上記は投資開始月を1ヵ月ずつずらして、1年間、5年間、10年間、15年間、20年間、世界株式に投資した場合のシミュレーションです。税金・手数料などは考慮しておりません。過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

保有期間別の年率リターンの分布

期間:1987年12月末~2026年3月末、月次

1年

保有期間別の年率リターンの分布1年の図

10年

保有期間別の年率リターンの分布10年の図

20年

保有期間別の年率リターンの分布20年の図

(使用した指数)世界株式:MSCI ACWI(税引前配当込み・米ドルベース)

上記は1987年12月末~2026年3月末の期間において、1年間、10年間、20年間世界株式に投資・保有した場合のシミュレーションです。税金・手数料などは考慮していません。過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

投資期間が短期間ではリターンの振れ幅が大きく、15年・20年と長期になるほどリターンの振れ幅が小さくなることが分かります。一般的に投資タイミングによって投資結果が大きく変わりますが、1987年12月末から1年間、5年間、10年間、15年間、20年間の保有期間でみてみると、15年以上保有していた場合は、どのタイミングで投資を始めてもマイナスとなることはありませんでした。長期の投資においては明確な期間の基準はありませんが、投資を開始するタイミングを迷うよりも、なるべく早く投資を開始して時間を味方につけることも有効だといえそうです。
また、保有期間別の年率リターンの分布をみても分かる通り、長期間ほどプラスのリターンが実現した回数が多く、ばらつきの少なさも目立ちます。このように、投資期間が長くなるほど投資収益が安定化するのも長期投資のメリットともいえるでしょう。さらに長期投資では配当などの収益を再投資することで複利効果も期待できます。

長期投資の効果を支える理由は?

これまで、過去のデータを基にお伝えしてきましたが、資産形成においては、成長が期待できる資産に継続投資をすることが重要です。今後の世界経済の拡大をけん引する要因を確認しましょう。

①世界経済の拡大

世界の経済規模と世界株式指数の推移は下図の通りです。
世界の経済規模は成長し続けており、 2000年は総額約34兆米ドルでしたが、 2025年には約118兆米ドルまで拡大しています。それに伴い、世界株式も大きく上下しながらも、右肩上がりの上昇が続いています。世界人口は今後も増加傾向にあると共に消費も拡大し、世界経済は成長を続け2031年には約158兆米ドルになると予想されています。

世界経済規模と世界株式の推移

世界経済規模と世界株式の推移の図

(1987年12月末=100)

(期間)世界株式:1987年12月末~2026年3月末 世界経済規模:名目GDP、1987年~2031年、2026年以降はIMF予測。

(使用した指数)世界株式:MSCI ACWI(税引前配当込み・米ドルベース)

(出所)IMF「World Economic Outlook Database, April 2026」、ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

②企業の投資とイノベーション

経済成長の背景には、企業による新しい製品やサービスへの投資があり、革新的なアイデアや製品を生み出すイノベーションが重要な役割を果たしています。これらの技術革新により、企業は市場での競争力を高め、結果として経済成長に貢献しています。
企業の時価総額は、全体の市場価値を表すもので株価と密接に関連していますが、世界の時価総額ランキングの変遷をみてみると、2005年末と2025年末では上位ランキングの企業が大きく変わっており、2025年では、エヌビディアやアップルなどの企業に代表されるビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などを中心としたイノベーションが、新たな産業の創出や、人口増加による経済活動の活性化に寄与し、世界経済の成長をけん引する要因になっていると考えられます。また2005年末に1位だったゼネラル・エレクトリックの時価総額は約3100億米ドル、現在1位のエヌビディアの時価総額は約4.5兆米ドルと約15倍となっており市場全体が拡大しています。

世界株式の構成上位10銘柄

2005年末 2025年末
1位 ゼネラル・エレクトリック(米国) エヌビディア(米国)
2位 エクソン・モービル(米国) アップル(米国)
3位 マイクロソフト(米国) マイクロソフト(米国)
4位 シティグループ(米国) アルファベット(米国)
5位 BP(英国) アマゾン・ドット・コム(米国)
6位 プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー(米国) ブロードコム(米国)
7位 バンク・オブ・アメリカ(米国) メタ・プラットフォームズ(米国)
8位 HSBCホールディングス(英国) テスラ(米国)
9位 ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国) TSMC(台湾)
10位 ファイザー(米国) JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(米国)

(使用した指数)世界株式: MSCI ACWI(米ドルベース)

*記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。

(出所)FactSetのデータを基に野村アセットマネジメント作成

将来の資産形成や、老後資金の準備として資産運用を検討する際、「リスクが怖い」、「元本の保証がない」ことを理由に投資に踏み出せなかったという方も、時間を味方につけて長期間にわたり投資を継続するという選択肢を検討してみませんか?