【新入社員向け!】企業型DC、どれを選べばいいの?

新入社員向け!企業型DC、どれを選べばいいの?

企業型DC(企業型確定拠出年金、日本版401k)を導入している会社へ入社された方は、どのようにして運用商品を選択すべきか分からない方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、「運用商品ラインアップ(商品ガイド)」から自分で商品を選択するために注目するポイントをご紹介します。会社から配布される「運用商品ラインアップ」と一緒にご覧ください。

Q1.いくつ選択できるの?

「運用商品ラインアップ」の中からであれば、決められた掛金額の範囲内で、1つだけ~複数を自由に選択することが可能です。商品の選択と併せて、加入者自身が資産配分を決定します。
たとえば、100%1つの商品を選択することも、5つの商品を20%ずつ選択することも可能ということです。また、運用商品や資産配分は、いつでも変更することができます

Q2.定期預金?投資信託?保険?どれを選ぶ?

会社によって選択可能な「運用商品ラインアップ」は異なりますが、定期預金・保険・投資信託から選択できるのが一般的です。前述のとおり、組み合わせ方は自由です。

定期預金・保険は元本確保型の金融商品で、元本割れの可能性がほとんどないというメリットがあります。一方で、インフレが進行した場合、額面は守られていても、実質的なお金の価値が下がってしまう可能性があります。この問題については、コラム「なぜ今、資産運用が必要なの?2.インフレ」で詳しく解説しています。
投資信託は、複数の投資家から資金を集めて、運用の専門家が債券や株式などに投資・運用する金融商品です。市場環境によっては資産が大きく増えることが期待できますが、減ってしまうケースもあるため、元本は保証されません。

確定拠出年金の統計資料によると、投資信託等が運用残高の59.8%を占めています。特に、株式型やバランス型の投資信託が半数を占めており、積極的な運用を目指す方も少なくありません。投資信託を選択するのが怖いという方は、たとえば定期預金を50%、投資信託を50%などにすることも可能です。いつでも選択した商品を見直すことが可能なので、資産運用について正しい知識を身につけ、徐々に投資信託の比率を増やしていくのも選択肢の1つです。

運用商品選択状況(2023年3月末時点)

運用商品選択状況(2023年3月末時点)の図

(出所)厚生労働省「確定拠出年金統計資料」(2023年3月末 運営管理機関連絡協議会)()を基に野村アセットマネジメント作成

Q3.投資信託の選び方 ①自分に合った投資対象を知る

運用商品ラインアップには、複数の投資信託が用意されているのが一般的です。元本確保型商品と投資信託の比率を決めたら、投資信託の中でどのような投資対象に配分するかを考えていきます。

そこで、まずは投資信託の投資対象の特徴を確認しましょう。一般に、リターンが低い資産ほどリスク(リターンの振れ幅)が小さく、リターンが高い資産ほどリスクが大きいことがわかります。

主要投資対象を1年間保有した場合の年間リターンの振れ幅
(1984年12月末~2022年12月末)

主要投資対象を1年間保有した場合の年間リターンの振れ幅の図

国内リートは2003年3月末~2022年12月末、外国リートは1989年7月末~2022年12月末、新興国株式は1988年1月末~2022年12月末の期間です。たとえば、2022年12月末の年間リターンは、2022年12月末までに1年間保有した場合の年間リターンを示しています。各資産の算出に用いた市場指数については、当コラム末尾をご参照ください。

税金・手数料などは考慮しておりません。グラフは過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグ等のデータを基に野村アセットマネジメント作成

株式やリートは、リターンもリスクも高いことがわかります。「リスクが高い」と聞くとマイナスなイメージを持つかもしれませんが、企業型DCはつみたて投資と同じ方法で、会社が拠出する金額※1で毎月、選択した金融商品を購入します。常に値動きをしている投資信託は、いつ買い時なのか見極めるのが困難ですが、毎月決められた日に一定額を積み立てることで、値上がりしたときには買う口数が少なくなり、値下がりしたときには相対的に多めの口数を買うことができます。株式のような値動きが大きい投資対象ほど、値下がり時に多くの数量を購入できるため、その後の上昇局面で効果を発揮しやすい傾向があります。

※1いくらまで拠出できるかについては、コラム「【新入社員向け!】企業型DCってなに?」で解説しています。

定年退職まで長い時間のある新入社員の方や若い世代は「時間」を味方につけて、一時的な価格の変動に振り回されず、下落局面も投資機会と捉えることができます。そこで、外国株式や新興国株式などの比較的値動きが大きい投資信託に投資を行なうことも有効です。

60歳まで時間がある新入社員の方は、
時間を味方につけて「外国株式」等を投資対象とする投資信託も選択肢の1つ

上図「主要投資対象を1年間保有した場合の年間リターンの振れ幅」は1年あたりのリターンの振れ幅を示しているため、マイナスとなった時の下落率も大きく、「投資は怖い」と感じた方も多いかもしれません。しかし企業型DCは、原則60歳まで引き出し不可となっていますので、長期的な視点で商品を選択する必要があります。
以下のグラフは、実際に1984年12月末から2022年12月末までで、株式や債券などの8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較です。保有期間が長くなるほど、リターンのばらつきが小さくなっていることがわかります。
また、この期間に関しては、保有期間10年の場合、最小のケースでも1.4%のリターンとなっており、マイナスはありませんでした。このデータから、時間を味方につけて長期で運用することは、セカンドライフに備える有効な手段といえそうです。

8資産に分散投資した場合の保有期間別年率リターンの比較

保有期間1年間の場合の図
保有期間5年間の場合の図
保有期間10年間の場合の図

期間:1984年12月末~2022年12月末

シミュレーションの前提:国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、新興国債券、米国ハイ・イールド債券、国内リート、外国リートの8つの資産を1/8ずつの割合で、各資産の月間リターンを基に毎月リバランス(相場変動などにより変化した投資比率を調整し1/8ずつの割合を維持)を行なったものとして、野村アセットマネジメントが独自に計算したものです。ただし、1984年12月末~1989年7月末の値は、新興国債券、米国ハイ・イールド債券、国内リート、外国リートを除く4資産を1/4ずつの割合で、1989年8月末~1996年12月末の値は、新興国債券、米国ハイ・イールド債券、国内リートを除く5資産を1/5ずつの割合で、1997年1月末~2002年12月末の値は、新興国債券、国内リートを除く6資産を1/6ずつの割合で、2003年1月末~2003年3月末の値は、国内リートを除く7資産を1/7ずつの割合で計算しています。

例えば、2022年12月末の年率のリターンは、2022年12月末までに1年間保有した場合、5年間保有した場合、10年間保有した場合の年率換算したリターンを示しています。各資産の算出に用いた市場指数については、当コラム末尾をご参照ください。

税金・手数料などは考慮しておりません。グラフは過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)ブルームバーグ等のデータを基に野村アセットマネジメント作成

その他の年代については、コラム「年代別!資産運用おすすめプランのご紹介」をご参考ください。コラムの最後では、野村アセットマネジメントの社員が実際に保有している企業型DCの内訳を確認することができます。

Q4.投資信託の選び方 ②資産配分を決める

次に、資産配分について考えていきます。
新入社員の強みは「時間」を味方につけて、外国株式などの比較的値動きが大きい投資信託に投資を行なうことも有効ですが、値動きの大きい資産だけに投資するのは怖いという方も多くいらっしゃると思います。リスクを軽減するためには、株式と債券、国内と海外など、値動きの異なる複数の資産に投資対象を分散させることが基本です。ただし、自分に合った資産配分を考えるのは難しいという方も多いのではないでしょうか。
そこで、資産配分に迷ってしまうという方は、「バランス型ファンド」がオススメです。バランス型ファンドは、運用会社に資産配分の調整をお任せできる商品性になっております。
20代の新入社員が選ぶなら、バランス型ファンドの中でも株式比率が高いものに注目してみましょう。ファンド名に「積極型」や「70」など株式の比率が示されたものがあります。株式比率が高ければ、それだけ資産価格が動くので、リターンを生み出せる可能性が広がります。
また、資産運用で先行している米国の企業型DCにおいては、「ターゲットイヤー・ファンド」で年金資産を運用するのが一般的※2になっています。「ターゲットイヤー・ファンド」とは、株式や債券などに分散投資を行ない、年代やライフサイクルに合わせて運用会社が自動的に資産配分を変更し、リスクを調整するという特徴があります。一般的に積立金額が少なく、投資期間が長い若い間は積極的な運用を行ない、リタイア世代に近づくにつれ、低リスクな運用へと徐々にシフトしていきます。
「ターゲットイヤー」ごとにファンドが設定されており、自分に合ったファンドを選択するだけで、そのあとは自分で資産配分を変更するといった手間を省くことができる為、投資初心者や現役世代などの忙しくて時間がないという方にメリットが大きく、長期での資産設計に適したファンドです。

※2出所:米国投資信託協会

Q5.投資信託の選び方 ③投資信託を選択する

希望の投資対象に合致する投資信託が複数見つかった場合は、投資方針や信託報酬を確認し、比較検討するのも1つの方法です。
投資方針を確認することで、その投資信託をどのように運用していくのか知ることができます。
また、信託報酬とは、投資信託にかかる費用の1つで、投資信託の運用・管理の報酬として信託財産から差し引かれるものです。また、信託報酬だけではなく、「信託報酬以外のコスト」も記載されていますので、併せて確認しましょう。