積立投資のお金はいつ2倍になる?~「126の法則」で考える投資の時間~

積立投資の魅力は、まとまった資金がなくても、毎月の積み重ねによって資産形成を始められるところにあります。少額からでも続けていくことで、時間を味方につけながら、将来に向けた資産づくりに取り組むことができます。
もちろん、投資には値動きがあり、運用成果は年によって変動します。元本割れする可能性もありますが、長期で取り組むうえでは、「どのくらいの時間をかけて資産を育てるのか」という感覚を持っておきたいところです。その手がかりとなる考え方のひとつが、積立投資の目安として使われる「126の法則」です。一括投資でよく知られる「72の法則」と比べながら、積立投資においてお金が2倍になるまでの時間をみていきましょう。なお、「72の法則」も「126の法則」も、利回りが一定であるものとして複利運用した場合を前提としています。
積立投資でいう「2倍」とはどういう意味?
「お金が2倍になる」といっても、一括投資と積立投資では、何を基準に2倍と見るのかが異なります。一括投資の場合は、最初に投資したお金が2倍になることを指します。たとえば、100万円を一度に投資して、それが200万円になれば「2倍」です。一方、積立投資の場合は、これまで積み立てた金額の合計に対して、資産額が2倍になることを指します。たとえば、毎月積み立てた金額の合計が100万円で、資産額が200万円になれば「2倍」と考えます。この基準の違いを押さえておくと、このあと紹介する「126の法則」も、積立投資ならではの時間の見方として捉えやすくなります。
積立投資の目安になる「126の法則」
毎月コツコツ積み立てる投資では、毎月1万円を投資する、毎月3万円を投資信託で積み立てる、NISAのつみたて投資枠を使うなどのケースが考えられます。このような積立投資で、積立評価額が累積積立額の2倍になるまでの年数をイメージする際に使われるのが、126の法則です。
基本となる考え方は、「年利回り(%)×年数≒126」です。たとえば、年利回りが5%なら、「5×年数≒126」となり、年数は「126÷5=約25年」と計算できます。これは、積み立てた金額の合計に対して、運用後の資産額が2倍になるまでに、約25年かかるという目安です。
126の法則の例
| 年利回り | 積立投資額が2倍になるまでの目安の年数 |
|---|---|
| 1% | 約126年 |
| 2% | 約63年 |
| 3% | 約42年 |
| 5% | 約25年 |
| 6% | 約21年 |
| 8% | 約16年 |
| 10% | 約13年 |
上記はイメージ図であり、すべてを説明しているものではありません。税金、手数料等は考慮していません。
投資信託は、元本が変動しますので、利回りは確定ではありません。従って複利の効果を得られない場合もあります。
将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
表を見ると、積立投資で「累積積立額の2倍」を目指すには、ある程度長い時間が必要になることがわかります。積立投資は、短期間で一気に増やすというより、時間をかけて資産を育てていく方法だといえます。
では、なぜ一括投資で使われる「72」ではなく、積立投資では「126」なのでしょうか。理由は、積立投資ではお金を一度に投資するのではなく、少しずつ投資していくからです。一括投資の場合、最初に投資したお金全体が、最初から運用されます。
たとえば100万円を一括で投資すれば、その100万円すべてが投資開始時点からの運用の対象になります。一方、積立投資では、最初に積み立てたお金は長く運用されますが、後から積み立てたお金ほど運用期間は短くなります。つまり、積み立てたお金すべてが、同じ期間運用されるわけではありません。そのため、これまで積み立てた金額の合計が2倍になるには、一括投資よりも長い時間が必要になります。一定額を積み立てながら、一定の利回りで運用できたと仮定すると、積立投資額の合計が2倍になるまでの目安は、おおよそ「利回り×年数≒126」という関係になります。
一括投資なら「72の法則」
ここで、比較のために一括投資の「72の法則」も見ておきましょう。基本となる考え方は、126の法則と同じく 「年利回り(%)×年数≒72」 です。たとえば、年利回りが6%なら「6×年数≒72」となり、年数は「72÷6=約12年」となります。年利回りが8%なら「72÷8=約9年」です。このように、お金が2倍になるまでの年数は、「72÷年利回りの数値」 で求められます。
72の法則の例
| 年利回り | 2倍になるまでの目安の年数 |
|---|---|
| 2% | 約36年 |
| 3% | 約24年 |
| 5% | 約14年 |
| 6% | 約12年 |
| 8% | 約9年 |
| 10% | 約7年 |
上記はイメージであり、すべてを説明しているものではありません。税金、手数料等は考慮していません。
投資信託は、元本が変動しますので、利回りは確定ではありません。従って複利の効果を得られない場合もあります。
将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
「72の法則」と「126の法則」を並べると、一括投資と積立投資では、同じ利回りでも2倍になるまでの時間が異なることがわかります。一括投資には、まとまった資金を早く運用に回せる特徴があり、積立投資には、少額から始めやすく、投資タイミングを分散しながら続けられる特徴があります。自分の資金状況や投資目的に合わせてうまく活用していきましょう。
利回りが変わると、必要な時間も変わる
「126の法則」を見ると、利回りの違いが必要な時間に大きく影響することがわかります。積立投資の場合、年利回り3%なら積立投資額が2倍になるまでの目安は約42年です。年利回り6%なら約21年です。利回りが高くなるほど、積立投資額が2倍になるまでの期間は短くなりますが、投資信託などによる運用で、高い利回りを狙うほど、リスクも高くなりやすい点には注意が必要です。一般的に、高いリターンが期待できる投資ほど、価格が大きく下がる可能性もあります。そのため、投資ではリターンだけでなく、次のような点も考えておく必要があります。
- どれくらい値下がりしても耐えられるか
- 何年くらい使わないお金なのか
- 途中で売らずに続けられるか
「早く増やす」ことだけを考えるのではなく、自分の資金状況や投資期間に合った方法を選ぶことが資産形成を長く続けるコツといえそうです。
リスクと費用もあわせて考える
投資信託などを選ぶ際には、費用も確認しておきたいポイントです。投資信託では、買付時に手数料や運用中に信託報酬などの費用がかかります。
たとえば、積立投資で年率3%で運用できたと仮定した場合、積立投資額が2倍になるまでの目安は約42年です。一方、費用などを差し引いた実質的なリターンが年2%になると、目安は約63年に延びます。このように、費用の差は、長期投資では大きな違いにつながることがあります。ただし、費用は単なる負担ではありません。運用会社が投資対象を調査・分析し、売買判断やリスク管理を行い、投資信託の運用を継続的に管理するための対価でもあります。個人で投資対象の調査・分析や売買判断、リスク管理をすべて行うには、多くの時間や専門知識が必要です。投資信託などを利用する場合、投資家はその一部を運用会社に任せていることになります。資産形成をするうえで投資商品を選ぶときは、利回りだけでなく、費用の水準や、それによってどのような運用・管理が行われているのかも確認しておくことが大切です。。
ご紹介した「126の法則」と「72の法則」は、将来の利益を保証するものではありません。あくまで、投資にかかる時間をイメージするための目安です。特に、積立投資では「積み立てたお金すべてが同じ期間運用されるわけではない」という点を押さえておく必要があります。この2つを知っておくと、利回りによって必要な期間がどう変わるのか、一括投資と積立投資で増え方のイメージがどう異なるのかが見えてきます。資産形成を検討する際には、「いくら増やすか」とあわせて、「どのくらいの時間をかけて資産を育てるか」も考えておくとよいでしょう。