教育資金・投資教育ってどうしてる?(中・高・大学生/前編)

子供を持つ親の心配事の1つが、「教育資金」ではないでしょうか。前回は未就学児・小学生編でしたが、今回は、中学・高校・大学生の子供を持つ野村アセットマネジメントの社員5名に、彼らが実践している教育資金の運用方法について話を聞いてきました。また資産運用会社で働く社員が考える、子供への「投資教育」についてもインタビューしていきます。みなさんと同じように子育て、教育に悩み、日々奮闘しているリアルな話から、なにか参考になる情報があるかもしれません。

座談会メンバー

  • Eさん

    中学1年生女の子、5歳児男の子パパ

    Eさん

    シンガポールに赴任していた時の影響で子供が時々切れ味のいい英語を発音すると嬉しくなりますが、今はほとんど忘れてしまったみたいです。2人とも学校・幼稚園が好きで楽しく通っている姿を見ると安心します。

  • Fさん

    高校1年生女の子パパ

    Fさん

    妻と娘が仲良く、家族がリビングで過ごす時間が多く、勉強もリビング学習です。私はもう少し、リビングはリビングらしく使いたい派ですが…(笑)でも、コミュニケーションがしっかりとれるのはいいことですね。

  • Gさん

    高校3年生男の子ママ

    Gさん

    息子は高校3年生の春の大会までサッカーをやっていました。最後の試合に勝つために坊主にして気合を入れていましたが1回戦で敗退!(笑)現在は大学受験真っ只中で、親としては無事に合格して欲しいなという気持ちです。

  • Hさん

    大学2年生・中学3年生男の子ママ

    Hさん

    2人ともスポーツ少年で小さい頃はサッカーをやっていました。ただ長男はいろいろやりたいタイプで高校は硬式野球、大学ではアメフト部に入りました。アメフトはすべての身体を使うので、これまでの経験が活きていると楽しんでいるようです。(笑)

  • Iさん

    中学1年生男の子、
    小学5年生・3年生の女の子パパ

    Iさん

    長男は野球をやっていて、好きな野球を続けるために自分自身で進路も決めて勉強していました。毎週日曜日の試合は妻と自転車に乗って、いろいろなところに応援に行っています。下の娘2人もやりたいことを見つけ始めたところですね。

司会:未就学児ママ社員

投資教育についてご覧になりたい方は、後編をご覧ください。

教育資金・投資教育ってどうしてる?
(中・高・大学生/後編)

Q1.みなさんはどうやって教育資金を準備していますか?

Iさん(中学1年生男の子、小学5年生・3年生の女の子パパ)は、
毎年夫婦の世帯年収の3割を投資に回して、教育資金だけでなく将来の資産形成として運用中!

Iさん:教育資金というわけではないんですけれども、我が家のルールとしては大体、夫婦の世帯年収の3割を毎年投資に回すようにしてます。共働きですので、お互いにそのルールを守りながら、あとは残った枠の中で生活していくということですね。やっぱり受験の時は相当お金がかかるので、その時は結構支出が多くなる。その中で世帯年収の3割の投資を維持しなきゃいけないので、その分生活の中で、使うお金を見直したりしてやりくりをする感じですね。

教育資金などで費用がたくさん必要になっても3割を減らすことはないんですか?

Iさん:塾に通ったりする場合はやはり出費が大きくなります。でも、3割を投資するということは決めているので、出費を抑えるしかないです。なるべく外食を控えたりとか、電気をこまめに消したりとか。子供たちもSDGsに関心があるので、家でご飯食べながらフードロスの話が出てきたりします。自分たちで考えてポスターを作ったりもしてますね。(節約の流れから)自然とそういう思考が身についているような気がしますね。

Gさん:小さいうちから、そういうことを意識するって大切ですね。

ちなみにどのようなものに投資しているんですか?

Iさん:基本的には僕の場合は全部、米国株式(S&P500種株価指数・配当貴族指数、NASDAQ100指数等)のインデックスファンドや世界株式を投資対象としたアクティブファンドでつみたて投資をしています。夫婦でつみたてNISA、妻はiDeCoもやっていて、税制優遇がある制度の枠は使って、枠を超えてしまったものは課税されますけど、投資をしております。これらをずっとコツコツ続けているという感じですね。
ただ、キャッシュの比率もある程度ないといけないので、キャッシュ比率は3割と決めています。基本、運用中に株価が上がって運用残高が増え、キャッシュ比率が相対的に2割とかに落ちれば一部売却してキャッシュ比率を3割に戻す。逆に2022年みたいに投資資産が値下がりしてキャッシュ比率が4割くらいになった場合は、増えた比率の分だけ投資に回して、3割になるように調整しています。そうやって続けていくと、安い時に買って高い時に売るというのが機械的にできるんですよね。そこに人間の感情が入ってしまうと結構タイミングを間違えたりするんですけど、本当に淡々とルールに基づいて調整しています。もう20年くらい同じルールで続けていますね。

戦略を練って計画的に準備しているんですね。

Hさん(大学2年生・中学3年生男の子ママ)は、
学資保険に入り、長男の大学の学費はお祝い金から充当。つみたてNISAは継続して運用中!

Hさん:うちは上の子の時に学資保険に入ったんです。今大学生ですけど、子供が産まれた頃に周りの人がみんな学資保険は入るよね、みたいな風潮で。じゃあうちも入るかっていう感じで気楽に入っちゃいましたが、返戻率は低いですね。でも万が一、夫に何かあった場合は(保険金が)出るっていう安心感だけで入ってたつもりでしたが、そうやって(預金口座とは)別で積み立ててあったおかげで、大学生になった今、そのお金がぽんと振り込まれるので、そこから学費が賄えているという意味ではありがたいですね。
あとは、教育資金に限った資金ではないですが、つみたてNISAで資産形成をしています。

Eさん(中学1年生女の子、5歳児男の子パパ)は、
1人目は学資保険に入り、2人目の時はバランス型ファンドで運用中!

Eさん:Hさんの言う通り、学資保険って投資と考えると、あまり増えて戻らないですよね。最初の子供の時は、自分の親がしてくれたように自分も学資保険に入ろうとあまり考えずに契約してしまいました。でもやっぱり返戻率が良くなくて…。1回入ると解約しづらいものの、節目で満期を迎えると嬉しいですし、そこは地道にやるしかないなと思っています。

2人目の子供の時なんてさらに超低金利の時代になったので、今度はいろいろ考えました。元本保証はないものの、掛け捨ての生命保険と、自分のやりたい運用を組み合わせれば、より良いものにできるんじゃないかと思い、バランス型のファンドを買って、それに手を付けず、現在で5年くらい経ちましたね。ただ、その時は課税口座で購入してしまったので、税金面のメリットはないんですよね。なので、2024年からNISAが新しい制度になる予定なので、もう一度考え直してみようかな、と思っています。
やっぱり、保険のいいところは強制的にお金が引き落とされて、簡単に出せないということで…。

Gさん:そこですよね!

Eさん:はい。ただ、自分でもそれを再現できるかなと思って。例えば、つみたてNISAを活用して、明細とカードなどはできれば自宅ではなく、実家に放置しておく。そういうふうにすれば同じようなことができるのではないかと思いました。

全員:(笑)

Eさん:あと、学費が必要なタイミングってすごくピンポイントなので、その時に運用がうまくいっているとは限らないので、あんまりお金に色をつけすぎて運用すると自分が困ってしまうこともあるなと。その時運用がうまくいってなくても、例えば企業型DCの運用資金の部分で(安くなっている間も積み立てを続けて)長い期間の運用ができるだろうから、こっちの資金はこの状況でも使ってしまおう、とか自分の中で整理して妥協しながらやっていくのも大事かなと思っています。

企業型DCを導入している会社が毎月掛金を積み立てし、会社に勤める従業員自らが金融商品の選択など、運用を行ないます。その運用成績によって、将来もらえる退職金・年金の額が変動する仕組みです。積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。

(出所)厚生労働省ホームページ「確定拠出年金制度の概要」()を基に野村アセットマネジメント作成

Gさん(高校3年生男の子ママ)は、
学資保険のお祝い金を大学の費用に充当予定。ターゲットイヤー・ファンドで退職に向けてリスク資産の比率を減らして運用中!

Gさん:私は入社してから結構投資信託で運用しているので、いろいろリスクとっているんですね。ただ、少し年を取って、40歳ぐらいからはターゲットイヤー・ファンドという退職に向けてリスク資産を減らしていくバランス型ファンドを毎月積み立てて買っていますね。

一般的にターゲットイヤー・ファンドとは、決められた目標年(ターゲットイヤー:退職年齢など)に向かって資産配分比率を自動的に変更していくバランス型のファンドのことです。その前提として、投資家は年齢を重ねるにつれて株式などのリスク性資産の比率を低下させることを想定しています。

Gさん:子供が産まれるまでは投資信託でいいやと思ってたんです。ただ、さっきEさんも言ってましたけど、子供の教育資金って、大学の学費など決まった時にまとまって必要なんですよね。
息子が赤ちゃんの頃、ショッピングセンターで保険の営業の方に声をかけられて、学資保険の説明を受けました。学資保険は額面の保証もあるし、自動引き落としで忘れてしまっても問題ないという安心感と、お金が必要なタイミングでまとめて100万とか200万円とかって返ってくるのはいいなと思って、即決しました。そのお祝い金が最近、子供が高3の11月の時に入ってきたんです。日々の忙しさについ忘れていたので、返戻率は高くはないんですけど、必要なタイミングでまとまったお金が入るのはいいなと実体験として感じました。

私は資産運用会社の社員なので、この学資保険のような仕組みを投資信託で何か代替できないかなって考えています。今持っているターゲットイヤー・ファンドは社会人から退職までという時間軸ですが、子供が生まれてからのライフサイクル型のファンドとかを今後作って、資産運用してもらえると金利の低いこの時代に効果的かなって思っています。
ということで、老後の資金は投資信託で運用をしているんですけど、子供のためだけに備えるお金を別にしておくっていう意味で、学資保険を活用しました。

Fさん(高校1年生女の子パパ)は、
学資保険は中学3年生の時に満期となり高校の学費などに充当!デフレからインフレに変化する日本で、つみたて投資の重要性を再認識!

Fさん:うちも教育資金という部分では、学資保険くらいでしたね。(娘の)おばあちゃんがやってくれてて、中学3年生の時に満期になって受け取ったんですよね。教育資金以外だと、やはり昔の日本はデフレの時代で、住宅ローンも抱えていたのでローンを優先的に返済していた時期もありました。その頃の相場で(一括投資で)住宅ローンの金利以上のパフォーマンスを狙える自信がなかったというのもあったんですよね。その時は間違っていなかったのかなと個人的には思います。ただ、今の時代は違いますよね。インフレなので(インフレに強い資産も上がっている)。そう考えるとデフレの時点からでも子供用につみたて投資はやっておいた方がよかったなぁと思いますね。今からでも遅くないので始めたいと思っています。

お子さんの口座で運用している方はいらっしゃいますか?

Gさん:お年玉を入れるための銀行口座はありますね。あと、ジュニアNISAも少しやっています。

Hさん:まだ証券口座はないんですけど、銀行口座は2人ともあって、うちもお年玉を入れています。あとは、(息子の)おばあちゃんから孫への生前贈与を、ちょっとずつもらったのが入っていて、現金が少し貯まっているのを、運用したいなと思っていました。2023年になれば上の子がNISAを始められるようになるので、つみたてNISAを始めて、積み立てていく習慣をつけてもらいたいなと思っています。本人もすごく前向きで、始めてみたいらしいです。長い時間をかけて資産を形成していくっていうところを、私自身も企業型DCとかで実感していますし、つみたてNISAもやっぱり毎月引き落とされていくことで、気付けば増えているなって感じます。子供にその話をしたところ、自分もやってみたいということだったので、ちょうど始めようとしているところなんです。