MARKET REPORT

【石黒英之のMarket Navi】日本株に対する固定観念を変える時?(下)

2026年05月15日

ポイント① 日本企業の収益力は低いままなのか

14日の東京株式市場では、日経平均株価が一時取引時間中の最高値を更新するなど、日本株の先高観は依然強いといえます。背景には、長年続いたデフレ環境からインフレ経済への転換に加え、日本企業の改革機運の高まりもあります。これまでの日本株は「収益力が低い」という固定観念がありましたが、足元では企業価値向上に向けた変化もみられます。

こうした変化の象徴となっているのが、23年3月の東証による資本効率改善要請です。これを契機に、日本企業では株主価値を意識した経営姿勢が強まりました。とりわけ改革が先行しているのが、日本を代表する企業群で構成されるTOPIX Core30で、同ROEは足元で10%台まで上昇するなど、日本企業の収益力の改善を支えています(図1)。

図1 TOPIX(東証株価指数)と同ニューインデックスシリーズの
ROE(自己資本利益率)4時点比較

TOPIX(東証株価指数)と同ニューインデックスシリーズのROE(自己資本利益率)4時点比較

期間:2023年3月末、2024年5月末、2025年5月末、2026年4月末時点
・東証が上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて改善を要請した2023年3月末、24/3期、25/3期本決算が出揃った2024年5月末、2025年5月末、直近の2026年4月末の4時点を比較した
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
 

ポイント② 怒涛の日本株買いをみせる海外勢

今後は、今年半ばに予定される金融庁のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改訂も注目されます。企業が抱える余剰資金の活用に対する市場の視線が厳しくなる可能性があり、成長投資や株主還元を通じたROE向上の動きが、Core30以外にも広がることが期待されます。日本企業の経営改革が新たな段階に入ると考えています。

経済と企業の変化を背景に、海外投資家は日本株を積極的に買い越しています(図2)。衆院選後の海外勢の動向をみると、高市政権が盤石な政治基盤を背景に経済政策や企業改革を進めるとの期待から、05年の小泉改革相場や12年のアベノミクス相場を上回るペースで日本株を買い越しています。日本の変化に着目した海外資金の流入は、日本株の中長期的な支援材料となりそうです。

図2 05年・12年・26年の衆院選時の
海外投資家売買差額累計

05年・12年・26年の衆院選時の海外投資家売買差額累計

期間:選挙直前週を起点に52週間(今回は2026年5月第1週まで)、週次
・05年の衆院選は9月11日投開票、12年の衆院選は12月16日投開票、26年の衆院選は2月8日投開票
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
 

*当資料は、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。