MARKET REPORT マーケットレポート
【石黒英之のMarket Navi】米大手テック企業の資金余力低下をどうみるか?
2026年07月27日
ポイント① アルファベットのFCFが赤字に転落
先週決算を発表したアルファベットは、AI(人工知能)関連の設備投資拡大を背景に、現金創出力を示すFCFが四半期ベースで上場来初の赤字となりました。今週はマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなどが決算発表を予定しており、各社のFCFの合計額が赤字に転じれば、AI投資の持続性への懸念が一段と高まる可能性があります(図1)。
もっとも、大手テックのFCF低下は、本業での稼ぎを示す営業CFが悪化したためではありません。4社合計の営業CFは今期予想(マイクロソフトは推定)で約7,000億米ドルと拡大基調を維持する一方、AI向け設備投資が急増していることでFCFが押し下げられています(図2)。収益力低下というより、成長に向けた先行投資の影響が大きいと考えられます。
図1 アルファベットのFCF(フリーキャッシュフロー)と
米テック4社のFCF合計額

期間:(アルファベット)2016年1-3月期~2026年4-6月期、四半期
(米テック4社のFCF合計額)2016年1-3月期~2026年1-3月期、四半期
・米テック4社はアルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
ポイント② AI市場で生まれた資金が循環するか
一方、AI向け設備投資で支払われた資金は、半導体関連企業へ移転しています。実際、米半導体関連4社ではFCFが大きく増加しており、大手テックとは対照的な動きです。AI市場全体でみれば資金が失われているのではなく、投資する側からAIインフラを供給する側へ還流している姿が窺えます(図2)。
大手テック4社は直近四半期末時点で約5,500億米ドルの現金等を保有しており、当面はAI投資を継続できる余力を備えています。一方、設備投資の拡大が続けば、将来的には社債発行など外部資金への依存度が高まる可能性もあります。今後AI市場で生まれた資金が金融市場を通じて再びAI投資を支える循環になるかが焦点です。今週の決算発表ではFCFだけでなく、営業CFの伸びや設備投資計画の変化も重要な確認ポイントとなりそうです。
図2 米テック4社の設備投資額・営業CF(キャッシュフロー)
・FCFと米半導体関連4社のFCF

期間:2015年度~2027年度、年度(26、27年度は2026年7月24日時点のBloomberg予想)
・米テック4社はアルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ
・米半導体関連4社はエヌビディア、ブロードコム、マイクロン・テクノロジー、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
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*当資料は、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。