MARKET REPORT

【石黒英之のMarket Navi】経済の好循環を背景に日本株の評価は続く?

2026年08月06日

ポイント① 日本経済の好循環が強まりつつある

5日に発表された6月の毎月勤労統計では、所定内給与が前年同月比3.4%増と92年10月以来となる6ヵ月連続で伸びが3%超となりました。実質賃金も6ヵ月連続で増加するなど、物価上昇を上回る賃金の伸びが定着しつつあります。デフレ下で実現しにくかった賃上げが広がっており、日本経済は賃金と物価がともに上昇する新たな局面になってきました。

背景には、インフレ経済への転換があります。企業は値上げによって収益を拡大し、その利益を賃上げへ還元する動きを強めています(図1)。株高による資産効果も加わり、家計の金融資産は直近5年間で398兆円増と、その前の5年間の225兆円増を大きく上回りました。賃上げと株高によって家計の豊かさも増し、日本経済の好循環は一段と強まっています。

図1 日本企業の経常利益4四半期合計と所定内給与

日本企業の経常利益4四半期合計と所定内給与

期間:(日本企業の経常利益)1992年1-3月期~2026年1-3月期、四半期
   (所定内給与)1992年3月~2026年6月、四半期
・日本企業の経常利益は法人企業統計のデータを用いた
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
 

ポイント② 企業利益は株高継続を示唆か?

こうした環境のもと、日本企業の稼ぐ力はより高まっています。値上げの定着に加え、世界的なAI(人工知能)需要の拡大も追い風となり、内需と外需の双方が企業業績を支えています。日本企業の経常利益4四半期合計は最高益を更新し、売上高経常利益率(4四半期平均)も過去最高となるなど、収益基盤はこれまで以上に強固になっています。

現在の日本株は、80年代後半のように企業利益から大きく乖離したバブル相場ではありません。株価は企業利益の拡大に沿って上昇しており(図2)、足元の日本株は実体を伴った株高と考えられます。今後も日本経済の好循環を背景に企業利益の成長が続くとみられており、日本株に対する投資家の前向きな評価は当面続くと考えています。

図2 TOPIXと日本企業の経常利益4四半期合計

TOPIXと日本企業の経常利益4四半期合計

期間:(TOPIX)1980年3月末~2026年8月5日、四半期
   (日本企業の経常利益4四半期合計)1980年1-3月期~2026年1-3月期、四半期
・日本企業の経常利益は法人企業統計のデータを用いた
・予想はTOPIXの26年度、27年度、28年度の1株当たり利益増益率(2026年8月5日時点のBloomberg予想)を用いて試算した
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
 

*当資料は、一部個人の見解を含み、会社として統一的見解ではないものもあります。