お知らせ
米国・イスラエルによるイラン攻撃に伴うグローバル経済・金融市場への影響
2026年03月02日
2月28日、米国とイスラエルはイランに対する軍事作戦を開始しました。「壮絶な怒り作戦」という名前の今回の作戦では、首都テヘランを含む複数地域の多くの施設に攻撃が行われ、イランの最高指導者であったハメネイ師が死亡したことが、3月1日にイラン国営メディアによって確認されました。
今回の作戦について、米国トランプ大統領は、安全保障上の脅威を排除するためと説明しました。トランプ大統領は、イランが過去およそ50年にわたって米国に敵対的行為を繰り返してきたと述べた上で、同国の核兵器保有を完全に否定しました。加えて、昨年6月に核関連施設を攻撃した後、米国はイランに対して核兵器開発を再開しないように警告すると共に協議を試みたものの、イランが開発を放棄しなかったことに対し、トランプ大統領は強い不満を示しました。
こうした中で注目されるのは、今回の軍事作戦がどのくらい続くかということです。この点について、トランプ大統領の発言は一貫しておらず、およそ4週間と述べたり、それよりも短い期間に言及したりしています。今回の軍事作戦に関しては、共和党内部や共和党支持層からも慎重な意見も聞かれます。今年11月に中間選挙を控える中、トランプ大統領は、軍事作戦を長期化させたくないとみられる一方、有権者にアピールできる戦果を求めているともみられることが、不透明感を高めています。
まずは、米国と、最高指導者の死亡を受けて発足したイランの暫定的な指導体制である、「臨時評議会」との協議の行方に注意が必要です。3月1日、トランプ大統領は協議の実施で合意したと話しました。ただし、実施時期などの情報は明らかにされておらず、こちらも不透明感が高い状況です。
今回の中東情勢の悪化による、世界経済への影響についてですが、少なくとも短期的には供給ショックが生じるとみられます。とりわけ原油価格に上振れ圧力をもたらし得ると考えています。原油輸送の要衝とされるホルムズ海峡が事実上封鎖されたと報道されており、封鎖が長期化するほど、原油価格への上振れ圧力は大きくなるでしょう。
こうした状況が続けば、金融市場ではスタグフレーション(景気の鈍化とインフレ率の上振れが同時に進行する状況)が意識され、リスク回避的な動きが生じやすくなると考えています。先行き不透明感が高い中で、各資産クラスへの影響について注視して参ります。
【各資産クラスについてのコメント】
<日本株式>
中東情勢、及び国際政治経済情勢の不安定化から3月2日の東京株式市場は下落しています。年初来、市場は大きく上昇しており、ポジション解消的な売りも出ていると考えます。
具体的な影響として中でも懸念されるのがホルムズ海峡の封鎖と見ています。今回の軍事作戦がどの程度続くかによって影響は変わりますが、全般的なインフレ懸念の中、原油価格上昇などが市況関連セクターにはポジティブに働く一方、原材料価格や輸送コスト上昇がマイナス要因となるセクターにはネガティブに働くなど株価の方向感は分かれることが想定されます。また、イランの次の体制の行方を中心とした地政学リスクの拡大がグローバル株式市場のバリュエーションに影響を与え、日本株式市場も短期的に調整が続く可能性に留意して参ります。
<グローバル株式>
米国・イスラエルによるイラン攻撃に伴う地政学リスクの高まりを受けて、短期的にはリスクオフの動きが鮮明になるものと見られます。原油価格の大幅な上昇や不透明な情勢が続いた場合、原油輸入国や観光などの消費関連セクターへの下押し圧力が続くことが想定される一方で、原油価格の上昇の恩恵が見込まれるエネルギー関連セクターや、地政学リスクの高まりにより防衛関連セクターなどへの資金流入が見込まれます。イランの暫定的な指導体制のスタンスや、トランプ米政権の対応などを注視して参ります。
<債券・為替>
主要先進国の国債利回りについてはリスク回避的な動きや先行きの景気鈍化懸念で下押し圧力となる一方で、インフレ率の上昇が起こる場合には、金融緩和の妨げとなって利回りを押し上げる方向で働く可能性もあります。為替市場では当初は基軸通貨である米ドル高が想定されますが、次第にスタグフレーションの各国経済への影響を見極める展開になると見ています。
加えて先週、英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズの破綻が報じられる等、クレジット市場について懸念を強める事象が増加しており、こちらにも注視して参ります。
CIO 村尾 祐一
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