お知らせ

7月の内外株式市場の動向について

2026年08月03日

20267月は内外株式市場ともに日々の変動幅が大きく指数の騰落率以上にボラティリティ(変動率)の大きな1か月でした。

 

■グローバル株式市場について

7月のグローバル株式市場はMSCI All Country World 指数(配当込み、現地通貨ベース)が0.3%の下落となりました。業種別や国別の指数の値動きを見ますと、指数間のパフォーマンス格差が大きかった一カ月でした。

業種別では原油価格上昇を受けたエネルギーセクターが上昇した一方、半導体株を中心としたITセクターが下落しました。国別では半導体株のウエイトが高いKOSPI(韓国総合株価指数)が20%を超える大幅な下落となりましたが、その他の国は底堅く推移するなど、半導体株の値動きが非常に大きい月となりました(半導体株の代表的な指数であるSOX指数は単月で21%の下落となりました)。

年初来、グローバル株式市場は、AIブームを背景に米大手テック企業がデータセンターなどのAI向け設備投資を増加させており、半導体をはじめとするAI関連株が市場の上昇を牽引してきました。7月に入り、韓国の大手半導体メーカーがADR(米国預託証券)を通じてナスダック市場に上場したことや、中国でも大手半導体メーカーが中国本土市場で上場するなど資金調達活動が相次ぎ、半導体産業における競争激化の懸念が高まりました。また、7月下旬にかけて企業の決算発表シーズンを控える中で巨額のAI投資への収益性に対する懸念が投資家の間で広がったことで市場のボラティリティ(変動率)が上昇し、足元で過熱感が高まっていたAI関連銘柄の下落につながったと思われます。しかし、半導体関連企業や米大手テック企業の決算内容を精査してみますと、業績は市場の予想を上回る伸びを達成しており、AI需要の減速を示す兆候は見られておらず、AIは株式市場において複数年にわたる構造的な成長テーマであるとの見方に変わりありません。また、AI関連以外の銘柄につきましては、景気拡大の恩恵を受けやすく好調な業績を発表している企業の株価は上昇しており、株価指数全体を下支えしています。加えて、中東情勢につきましては、米国とイランの軍事紛争の見通しに不透明感が残る中で原油価格が上昇しておりインフレの加速が懸念されるものの、米国を中心に世界景気は底堅さを維持しています。半導体株を中心に株式市場のボラティリティは当面高い状態が続く可能性もありますが、MSCI All Country World 指数で見た2026年の一株当たり利益の伸びは7月末時点で約29%、予想PER(株価収益率)は18倍程度となっていることからバリュエーション(投資価値評価)面でも注目されると考えられ、景気動向や企業業績などのファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に投資家の関心が向かえば、株価は堅調に推移すると見込んでいます。

 

CIO(グローバルアクティブ)

前田 有司

 

 

■日本株式市場について

日本の株式市場はTOPIXと日経平均の騰落率に大きな差が出た1か月となりました。

7/31の日経平均株価は64362.02円となり、AI半導体銘柄の株価調整を主因として7月の日経平均株価は約8.1%の下落となっています。一方でTOPIX7月騰落率は約0.2%の上昇となっており、日経平均株価の下落が際立つ格好となっています。NT倍率は7/31時点で16.1倍とピーク時につけた18.0倍から低下し、4月末レベルにまで水準訂正が進んでいます。

スタイルの観点では、ラッセル野村バリュー指数はグロース指数を4-6月で約19%下回りましたが、7月は逆に約10%上回っており、これらを勘案すると、4-6月のAI半導体一極集中相場による上昇の一定程度が調整されたことになります。業種では、東証33業種分類で4-6月大きく上昇した電気機器、非鉄金属等のAI半導体関連は7月に大きく調整した一方、輸送用機器、海運業、鉄鋼などのバリューセクターは反転してきています。なお金融関連業種は4-6月期に続き7月も続伸、AIディスラプション懸念で年初下落したサービスも同様な展開です。

AI半導体銘柄の調整は、足元は主力半導体銘柄のウエイトが高いKOSPI(韓国総合株価指数)の下落に沿った株価展開となっています。SKハイニックスは第2四半期決算がコンセンサス未達になったことが株価下落要因と思われますが、決算が好調な銘柄においてもAI半導体銘柄全体の調整に連れ安するケースが世界的にも散見されました。AI半導体銘柄の株価下落は、ハイパースケーラーの過剰設備投資懸念や中国半導体銘柄の台頭などが理由と考えられますが、これらはAI半導体のビジネスモデルへの懸念を連想させています。このような不透明要因はバリュエーションを抑制する方向に作用することに繋がり、したがって短期的には好材料にも反応しにくい環境が続く可能性もあります。

一方でAI半導体関連銘柄の株価調整はこの1か月で相当程度進んでいます。これまで大きく上昇したキオクシアHDの株価推移が代表例として挙げられますが、6/22ザラバ高値112,700円から直近安値7/29引値38,380円と約66%下落しており、PER(株価収益率)で4-5倍という水準まで調整しています。これは利益が半減してもPER10倍程度となる計算ですが、来期までの大幅増益が見込まれる当社の利益がその後半減するのか、意見が分かれるところです。なお月末には業績大幅上方修正を発表した半導体製造装置銘柄のアドバンテストが大きく反発、AIによる付加価値低下懸念で株価が出遅れていた日立製作所も第1四半期業績好調で株価上昇に転じています。7/30の米国市場でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は約8%上昇しており、世界的にAI半導体関連銘柄の底打ちの気配も見られ始めています。

このように月末にかけ流れが変わる兆しも出てきていますが、第1四半期決算発表の本格化で目まぐるしい株価変動が想定され、引き続きボラティリティの大きい相場展開を予想します。表面的なニュースフローや株価モメンタムのみに左右されず、冷静な客観的な分析に基づき、ポートフォリオのバランスも意識した運営を行い、中長期的な付加価値獲得に向け銘柄選択に注力する所存です。

 

※:AIディスラプション懸念:AIの進化によって既存の産業・企業・雇用・ビジネスモデルが大きく壊されたり、急速に変化したりすることへの懸念

 

CIO(日本株アクティブ)

原田 信太郎

 

 

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